葉の上を飛ぶ
闘技場の上に僕は立っていた。
はじめを屠った対戦相手と相対する。
さっきのが奥の手だったのだろう。
難しい表情だ。
「はじめ!」
審判が告げ、相手が手を掲げる。
「ピンポイント……」
言い切る間もなく、僕は相手との距離を詰めていた。
槍が一閃。
相手はかろうじてそれを避ける。
避けたか。
相手も中々の実力者だ。
そして、来るだろう。相手の奥の手が。
僕は、跳躍した。
案の定、さっきまで僕のいた位置に葉の刃が通過していった。
次の瞬間、僕は葉の刃に包囲されていた。
「知れていようと対策は取れまい! これが俺の猛葉襲凰陣だ!」
「名前だけは大層な……」
そう言って僕は空中で反転し、頭上の葉を蹴って方向転換する。
そしてもう一枚の葉を蹴る直前に唱えた。
「アクセルツー」
その呟きで僕の脚力は爆発的に強化され、葉の一蹴りで相手の眼前に迫った。
喉に槍を突きつける。
「降参してくれると助かる」
相手は息を呑む。
そして、肩を落とした。
「降参だ」
僕は満足して、仲間達のもとに戻る。
はじめと徹が駆け寄ってくる。
「はじめ」
「なんです、先輩?」
「これは、お前の勝利だ」
はじめはキョトンとした後、目に涙を浮かべて微笑んだ。
「はい!」
徹は苦笑顔だ。
「俺の居合とお前のアクセルフォー。どちらが速いだろうな」
思いもしない問いに僕は戸惑う。
「僕らが戦うことはないから考える必要もないだろう?」
徹はしばし考えた後、苦笑して答えた。
「そうだな」
含みが有りそうな言葉だった。
なんなんだろう。
謎を残しつつ、三回戦は終わったのだった。
続く




