続々・はじめの戦い
「お前が先鋒か」
三回戦の第一試合。
はじめは闘技場に立っていた。
相手はコトブキを挑発しに来た男。
二回戦では一人で試合を終わらせたらしい。
息を呑む。
少しばかりの緊張感はある。
しかし、尻込みはしていない。
気力は体に満ち溢れている。
はじめは答えの代わりに、カードホールドに聖騎士のカードを挿した。
相手は得たりとばかりに微笑んで、カードホールドにカードを挿した。
その途端に、相手の髪が緑になり、耳が尖る。
エルフのホルダー。
歌世と同じだ。
デバフスキル、バフスキル、回復スキル、弓スキル、槍スキルと多彩なスキルをこなせる万能ホルダーだ。
はじめは盾と剣を呼び出し、構えた。
「はじめ!」
審判が開始を告げる。
「ピンポイントデフダド」
相手が淡々と唱える。
防御型のはじめの速度では避ける間はなかった。
次の瞬間、矢が盾を貫通し、はじめの胴を貫いた。
口から血があふれる。
しかし、はじめは倒れない。
絶対に自分は勝利のピースになってみせる。
その決意が、はじめを奮い立たせている。
はじめは駆け始めた。
相手は矢を乱射する。
しかし、その全てをはじめは剣で叩き折っていく。
そして、相手をついに射程圏内に捉えた時、はじめは剣を掲げた。
相手は、慌てた表情で手をかざした。
その瞬間、周囲に木の葉が舞い散った。
包囲攻撃。
葉の刃がはじめをズタボロに切り刻んだ。
はじめは崩れ落ちる。
しかし、剣を杖のようにつき、いまだ倒れない。
その瞳は、まっすぐに前を見ている。
「そこまで!」
審判が告げて、はじめは倒れた。
「まさか、一年坊がここまで……」
相手が呆れたように言う。
「よくやった、はじめ」
いつの間にかいつもの超速度でやってきたコトブキが耳元で囁く。
「相手の手の内は、見えた」
はじめは微笑んで、そのまま意識を手放した。
続く




