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邂逅

「ちょっと炭酸買ってくるよ。皆もいるのあるかい?」


 僕が言うと、俯いて歩いていたはじめが狼狽したように顔を上げた。


「そんなパシリみたいな真似俺がやりますよ。コトブキ先輩は休んでてください」


「いいっていいって」


「コトブキ。後輩が困るからさっさと一人でいってこい」


 徹が呆れたように言う。

 僕はそういうものかと思って慌てて会場の自販機求めて歩いた。

 ジューズの自販機の横にプリンの自販機がある。


 これを学校に設置しなければ自分はクビになるのだなあとしみじみと思う。

 また面倒臭い公約を掲げてしてしまったものだ。


 後悔先に立たず。

 溜息を吐きながらジュースを選んでいると、後ろから声をかけられた。


「琴谷君、かな?」


「そうだけど?」


 戸惑いつつ振り向くと、そこには栗色の髪の天使のような青年がいた。

 思わず気後れする。

 陰キャの僕はこういう爽やかな男につい気後れする。


「なんか用?」


 用があるならさっさと終わらせようと話を進める。


「いやね。挨拶をしておこうと思って。なにせ、君と僕はこの大会におけるライバルだ」


「ふうん」


 極みの三人というネーミングもいつの間にか広がってるし、なんか名前が知れ渡って面倒になったなと思う。


「僕は冬馬。玄武のホルダーだ」


 僕は衝撃に目を見開いた。

 相手は不敵に微笑んでいる。


++++


 歌世は休憩所への道のりを歩いていた。

 生徒達に労いの言葉をかけなければならない。


 はじめや純子は負けたがそれなりに経験者としてのアドバイスが必要だろう。

 自分も随分先生をやるようになったなと思う。


 こんな毎日がずっと続けば良いのに。

 そんなことをつい思う。


 その時のことだった。

 胸に衝撃が走った。

 その中央から、血が溢れ出ている。

 口から吐血しながら、歌世は跪く。

 その後頭部に、銃口が突きつけられた。


(こんなところで、死……)


 思考がまとまらぬままに銃声が鳴った。



続く

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