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暗躍する人々

 歌世は関係者席である人物を探していた。

 いるかもしれないとは思っていた。

 しかし、実際にいるのを見るとやはり複雑な心境になる。


 どんよりとした雲空を見た時の憂鬱な気持ちのような。

 その気持ちを苦笑顔で隠し、歌世は彼に声をかけた。

 彼に会ったことが憂鬱なのではない。彼がこの場にいることから想像がつく真実が憂鬱なのだ。


「やあ、バンチョー君」


 バンチョーは顔を上げると、不敵に微笑んだ。


「どうも、歌世先生」


「隣、良いかい?」


「どうぞ」


 隣に座り、二階から一階の闘技場を眺める。

 観客席はがらんとしている。

 関係者以外立ち入り禁止なのでさもありなんといった感じだろう。


「探索庁のこの地域のスカウト担当にでもなったのかい?」


 歌世は探りをいれる。


「ええ、まあそんなとこです。徹は一皮剥けましたのう。実にいい」


「アークスに勧誘されても入らないぞ。君と違って」


「どうですかのう」


「その自信の根拠に思い当たる節がある」


 バンチョーは黙り込んだ。


「君が探索庁に入った途端にアークス入りしたとわかった頃から考えていたことだ」


 やはり、バンチョーは黙っている。


「探索庁とは、アークスそのものなんじゃないか?」


 バンチョーは答えない。

 硬直していた表情がそのうち緩やかに苦笑に変わる。


「そうです、先生。アークスとは探索庁の公認組織なのです」


 薄々わかっていたことだが、それでもやはり憂鬱になった歌世だった。

 つまりは、政府そのものがナンバースの敵。

 あまりにも大きすぎる相手だ。

 リングの中央では、コトブキと対戦相手の主将が向かい合ったところだった。



続く

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