極みの三人 徹
一勝二敗で副将戦がやってきた。
いざ負ければ終わりだという局面だが徹に緊張はない。
しかし、油断もない。
一度、油断して痛い目にあったことがある。
相手が斬鉄などという想定外の武器を持っていたことで大打撃を負った。
その時の教訓が活きている。
相手は巨漢の男。
カードホールドにカードをセットした途端に筋肉が膨れ上がった。
同時に、前進に黒い体毛が生える。
ゴリラのホルダーか何かだろう。
「あんたはそれで良いのかい」
相手はニヤつきながら言う。
徹は微笑んで返した。
「ああ。俺はこれでいい」
「はじめ!」
審判の声と同時に相手が太い腕を振り下ろす。
その一撃は巨木をも折るだろう。
しかし、徹はそれを片手で受け止めた。
相手の表情が一瞬唖然とした後、真っ青になる。
徹は苦笑した。
「それだけか?」
「なんのスキルを使った? パワードか? 貴様、聖職者のホルダーか?」
「いや。鍛えに鍛えた、俺の自然体だ」
そう言って、徹は潮風斬鉄を鞘に入れたまま振るい、相手を吹き飛ばす。
相手は失神した。
「そこまで!」
審判が言う。
これで二勝二敗。
勝負は振り出しに戻った。
終わってみれば徹の圧勝だった。
「極みの三人……」
そう呟いた相手の大将の表情は真っ青だった。
続く




