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決戦当日

 朝方の町を走る。

 各学校の生徒会執行部同士が争い合う当日をついに迎えた。

 準備はしてきた。

 一年生の戦力の底上げはしたし、徹も補充人員に加えた。

 師匠との実戦訓練も前にもまして密度の高いものになったし、禁断の異界にも毎日欠かさず通った。


 その肝心の徹は昨日の時点ではまだ寝続けているようだったが。

 戦闘になれば起きてくれると期待するしかないだろう。

 なにせ、使の助力はちょっと期待できそうにない。


 朝日が差す町を走るのは心地よかった。

 しかし、夏の気温だ。

 昼頃になれば外に出るのも億劫なほどになるだろう。


 海辺を走る。

 いやあ実質的には断頭台の前にいるとは思えないような清々しさだ。

 今回の大会の報酬で自販機を導入できないと僕は生徒会から追い落とされる。

 皆は杞憂だと言うが僕は本気でそう思っている。


(勝てるかな……)


 そもそも今、僕らはジエンドまでどれほど近づいているだろうか。

 禁断の異界でレベルは上げた。徹は新技を引っ提げて帰ってきた。

 今回の大会はその試金石になるかもしれない。


 海辺を通り越して山道を走り始める。

 そして、いつもの公園へとたどり着くと、予想外の人物が素振りしていた。


 潮風斬鉄を振るその青年は、間違いもなく徹その人だ。

 僕は思わず微笑んだ。


「起きたのか、徹!」


 徹は僕に気がつくと、優しく微笑んだ。


「ああ。待たせたな」


「事情は把握してるのか?」


「大体のことは寝てるうちに聞いたことで理解しているつもりだ」


「仙人みたいなことを言うなあ」


 思わず感心してしまう。

 最近の徹はどこか浮世離れしている。


「まあ任せろよ。俺とお前が並び立つんだぜ。ジエンドだって今なら葬ってやるよ」


「大きく出たな」


 僕は苦笑する。


「けど、今の僕達が並び立ったなら誰にでも負けないって、そんな気がするんだ」


 徹は口角を上げた。

 日差しは登っていく。

 僕らは戦場へと赴く。


続く



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