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切れない絆

 翌日の朝、僕は一晩かけてまとめた腹案を教室に集まった仲間達に披露していた。

 運命の水曜日。

 勝負は今日にかかっている。


 一同、難しい顔だった。


「確かに、それはいい公約ですが……生徒会にかかる負担が強くなる気がします」


 と、恵。


「それに、パンチもちょっと弱いかも」


 と純子。


「コトブキが後から困らないならいいけどねえ。まあ私も協力するけどさ」


 と優子。


 確かに、かかる負担のことは考えていなかった。


「けど、それで皆の声が聞けるなら僕はそれでいいと思うんだ」


 三人共、苦笑する。


「コトブキらしいや」


「まあ、私達も協力しますよ」


「けどやっぱり状況を逆転させる程のパンチはないような気が……」


 純子はこの案だけではまだまだ不安なようだ。

 確かに、ただでさえ今の状況では相手有利だ。

 そこに、さらに相手の公約は未知数という縛りがある。


 開けてみたら大敗、という結果も予想できる。

 その時のことだった。


「あーあ、プリンでも売ってる自販機でもおかねーもんかなあ」


 緑が大声で言って教室を出ていこうとする。

 笹丸が慌ててその後を追う。


「そんなのあるのか?」


「あるんだよ。プリンとかお菓子専門の自販機。置いたら全校生徒が喜びそうなもんなんだけどな」


 そう大声で言いながら、緑は歩いていく。

 僕達四人は目配せした。

 そして、僕は立ち上がり、廊下に去った緑を追う。


「緑!」


 緑は立ち止まったが、振り向かなかった。


「ありがとう!」


「知らねえよ」


 そう言うと、緑はさっさと歩いていってしまった。

 今のは緑の援護射撃だ。

 そう思うと、僕は頬が緩んだ。


 僕らの絆は切れていない。そう思うと、嬉しかった。

 そして、運命を左右する昼休憩前の時間がやってくる。

 応援演説と公約発表。生徒会長選挙中の一大イベントの時間がやってきた。



続く

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