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師弟対決2

「アクセルイレブン!」


 師匠が唱える。

 殺気がチリチリと燃え上がり、鼻をつんとさせる。

 これで師匠の速度は爆発的に増加した。


「アクセル……フォー」


 僕も唱えて、自身の速度を向上させた。

 流石にナンバースのスピードスターと言えどユニコーンのカードとアクセルの速度上昇効果には及ばない。

 速度ではこちらに分がある。


 もしもその速度を扱えていたなら、師匠はそもそもユニコーンのカードを手放さなかったはずだ。


 生温い風が吹いた。

 互いに相手の出方を伺う緊迫感。


 喉が乾き、緊張感が指先まで満ちるのを感じる。


 先に動いたのは、僕だった。


 師匠は経験による読みと踏み切り足で攻撃角度を予測する。

 ならば、範囲攻撃で一気に全面を叩く。


 師匠の斜め後ろに着地し、振り返った相手の上空へと飛ぶ。


「五月雨・改!」


 光の槍が空中に浮かび上がり、一斉に降り注ぐ。

 しかし、その時には師匠の姿はそこにはなかった。


「すぐに飛び上がるのが君の悪い癖だ」


 後方から槍が飛ぶ。

 それを、僕は宙空で蹴った。


 着地まで二本、三本と投じられる。


 蹴る、蹴る。

 そして着地して地面を再び蹴る。


 やはり師匠は強い。

 ミラージュですら今のタイミングの攻撃は避けられなかった。


 再び師匠の後方を取ろうとする。

 その瞬間、カードホールドがバラバラになり僕は困惑した。

 師匠が振り向きもせずに突いた槍が、背中越しに僕のカードホールドを破壊していた。


 こんなに簡単に、ピンポイントに。

 どれだけ経験値に差があるのだろう。


 技量が違いすぎる。

 僕は焦ると同時に、嬉しくなった。

 これが僕の師匠、四法印歌世。


 アクセルフォーの効果も、ユニコーンのカードの素早さカンストの恩恵も消え、ただの人間の僕がそこには残る。

 しかし、次の瞬間、師匠の槍が僕の肩を貫いていた。


「魔物化しなさい、コトブキ君」


 師匠はそう言って、僕を蹴って槍を引き抜く。

 僕は、師匠が僕を傷つけたという事実に、震えていた。


 こんなこと、初めてだ。


「魔物化しないと、君の本当の力を測れない」


 そんな些細な事がそんなに気になるのか?

 僕の体よりも僕の体の秘密がそんなに重要なのか?


 考えれば考えるほど悲しくなり、僕の目には知らず知らずのうちに涙が滲んでいた。


「さあ、速く」


 顔を蹴られる。

 アクセルをかけたスピードの乗った蹴りだ。

 僕の体はのけぞり、衝撃に脳を揺らされながら後方へと吹き飛んだ。


 指の先が紫になり、その色は勢い良く体を侵食し始めた。

 破壊的な衝動が体を多い尽くす。


「そんなに望むなら……見せてやるよ」


 僕の体は完全に魔物化していた。

 第二ラウンドの開始だ。



続く



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