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極みのトリオ

「コトブキ、頼んだ!」


 徹が言い、その意図を察して僕は頷く。


「アクセルフォー!」


 僕のバフスキルが徹の速度を向上させる。


「デフダド!」


 優子がマアクの防御力を下げる。


「ピンポイントプロテクション!」


 徹は叫ぶと、マアクに向かって一直線に飛んだ。

 マアクは意表を突かれたように反応する。

 しかし、遅い。


 ピンポイントプロテクションを纏った徹の拳がマアクの右頬にヒットした。


 マアクは後方へと吹っ飛んでいく。


「アクセルフォー!」


 僕は再び叫ぶ。

 足が軽くなる。

 僕の速度は飛躍的に向上していた。


 この、アクセルというスキル。元の速度が高ければ高いほど効果は高くなる。

 元々速度の高い僕の速度向上率は徹の比ではない。


 一瞬で僕はマアクの背後に移動していた。


「チャージ!」


 僕は光となり、槍をマアクの背に突き立てていた。

 貫ける。

 優子のデフダドの効果は十分にあったようだ。


 マアクの体が僕に弾き飛ばされ高々と宙に投げ出される。


「ホーリークロス!」


 徹が叫んで剣の先で十字を切る。

 光の本流が走ってマアクを飲み込んだ。


「なんてこった。相手になにもさせてない」


 ダイゴが呆れたように言う。

 マアクの体が地面に落ちた。


 そこにはさっきまであった威厳はない。

 ユニコーンのホルダー、コトブキこと僕。

 勇者のホルダー、徹。

 聖女のホルダー、優子。

 この三人が組んで勝てない敵などいるだろうか。


 相手も強かったのだと思う。

 まだ呼吸があることから、それが伺える。

 マアクはよろけながらも立ち上がった。


「見事な連携だ……お前達は人間界の中でも極みのトリオと言えるだろう」


 そう言ってマアクは咳き込む。

 もう、虫の息だ。


「だが、このような変わり種はどうかな」


 そう言うと、マアクは砂のように空気中に溶けていってしまった。


「サンクチュアリ!」


 優子が焦りの滲む声で叫んで、光の結界を作る。


「皆、聖域の中に入って! 何か、危ない気がする」


 その意見には同感だったので、僕は徹を抱きかかえると一足で聖域の中に入る。

 ダイゴも慌ててサンクチュアリの中に移動し始めた。


「ほう、勘もいい」


 マアクの声が空気中に響く。


「しかし、数秒遅かったな」


 魔の気配がダイゴを包み込む。

 ダイゴは苦しげに呻き声を上げ、喉を掻きむしった。


 それが終わると、雄叫びを上げた。

 ダイゴの肌が徐々に紫色へと変わっていく。

 マアクの色へと変わっていく。


 そしてダイゴは、光剣を僕らに向かって突きつけた。


「さあ、第二ラウンドといこうか」


 ダイゴの口から、マアクの声。

 ダイゴは乗っ取られたのだ。

 僕は顔面蒼白になりながら、その事実を受け止めていた。




続く

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