表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

151/274

呉越同舟

 帰り道はある。

 しかし、この場所の雰囲気は異界の物に似ている。

 なにより、鳥居をくぐった瞬間に空に広がった闇。


 それは、この場所もある意味で異なった場所、異界ということを示している。


(ワープゲートもないのに異界?)


 まるで、この世と魔界が混じり合ったかのような。

 戸惑いつつも石畳の道を歩き始める。

 鳥居の先にはいくつもの鳥居が並んでいる。


 その光景は和風怪談のような不気味さを感じさせる。


 そして、僕達は再会した。


 ダイゴ。

 鳥居を見上げ、険しい表情でいる。

 周りには唐傘お化けのような魔物の遺体。

 ホーリークロスを使ったのか奥の鳥居は少し破損している。


「ダイゴ! これもアークスの仕業か?」


 僕は言って、槍を構える。


「ナンバースの実験ではないのか?」


 ダイゴは光剣を構えて問い返す。


「ナンバースはこんな人を巻き込むような真似はしない」


「アークスの仕業だったら俺に魔物をぶつけたりはしないはずだ」


 沈黙が漂った。

 考える。


 アークスの仕業ならば、ダイゴがここで魔物と争っているのは確かにおかしい。


「ならここは、隠れ異界なのか?」


 ダイゴは戸惑いながら言う。


「ワープゲートがなかった。しかし、魔物が出るなら異界なんだろう」


 僕は構えを解いた。


「僕は先に進んでボスを倒す。君とは色々話したいことがあるが、君はここで魔物が現世に出ないよう見張っててくれ」


「待て。ボス退治なら勇者のカードの方が適役だろう。雑魚はあんたがやれよ」


 再度、沈黙。

 僕はダイゴを見る。

 ダイゴは迷惑そうに視線を逸していた。


「呉越同舟といくか」


 僕は溜息混じりに言った。


「そうだな。俺達二人ならば、大抵のボスは倒せるだろう」


 ダイゴもやむなしと言った感じで答える。

 こうして、聖獣と勇者はパーティーを組んだ。


「ヒーラーはいないのか?」


「留守にしてる。待っていれば来るかもしれないが、危険な目に合わせたくない」


 再度、沈黙。

 それを破ったのはダイゴだった。


「いいだろう。怪我しない自信がない奴だけここに留まればいい。俺は行く」


 そう言って、ダイゴは歩き始めた。

 僕もその後に続く。


 空を見上げると一面の闇。

 ダイゴが頭上を見上げて呆けていた理由が少しわかる気がした。




続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ