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主役は空から降ってくる

 二台の車がカーチェイスを繰り広げている。

 普通とは違うのは、この二台が警察のサイレンをつけていることだ。


 前の車の助手席の男が、運転手に問う。


「もっと速度上げれないのか?」


 運転席の男は顔をしかめる。


「これ以上は事故の可能性がある」


「言ってる場合じゃないぜ。車ごと異界に引きずり込まれたら終わりだ」


「わかっている!」


 後部座席には若い女性が俯いて両手を組んでいた。

 髪は長く、肩甲骨の位置まである。


 その女性が、ポツリと呟いた。


「……来る」


「ん?」


 助手席の男が振り返る。

 しかし、俯いている女性は前髪で顔が隠れ、表情までは見えなかった。


 その時のことだった。

 衝撃音が背後で鳴った。


 なんと、高速道路を走るようなスピードで入っている後方車両に飛び下りた馬鹿がいたのだ。

 馬鹿の槍は車のエンジン部を貫き、地面と摩擦を起こすけたたましい音を立てた。

 馬鹿は学生服で、覗いた腕には白い産毛がびっしりと生えていた。


 トランシーバーから声がする。


「ここは僕達が引き受けた。合流地点で会おう」


「誰だか知らないが感謝する。これで安全運転ができそうだ」


 助手席の男がパトランプをしまう。

 こうして、車は戦場を後にして去っていった。


「あれが……ユニコーンのホルダー……」


 女性が背後を見て呟く。

 白い産毛が生えた槍を持つ男の背はあっという間に遠くなっていった。



続く

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