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因縁.

「アクセルイレブン」


 師匠が唱える。

 その髪は既に緑になり、耳がとんがって、エルフとなっている。


 師匠はポケットから地図とトランシーバーを取り出すと、恵に渡した。



「合流地点が書いてある。ここは私が引き受けた。この先はあんた達に任せる」


「そんな。皆で力を合わせれば……」


 恵は当惑したように言う。


「コースケはスピード特化型だ。中々君達の攻撃は当たるまいよ」


 そう言って、師匠は槍を構えた。

 コースケも金棒を構えて腰を落とす。


 ナンバースとアークスのスピードスターの激突が起ころうとしていた。


「コトブキ君、異世界に穴を作って。そして、駆けて。後ろはけして振り向かずに」


「けど、コースケはアクセルトゥエルブって……」


「スピードで負けようと技量で補ってみせるさ。君相手にも散々見せてきたことだろう?」


 師匠はそう言って優しく微笑む。

 僕はなんでか、泣きたくなってしまった。


「わかりました。行きます」


 聖獣のホルダーの力で空間に穴を作る。

 師匠とコースケは獲物を構え、微動だにしなかった。


「ご武運を」


「おうよ」


 恵がまず穴から外に出る。

 その後に僕含む四人の学生が続いた。

 異世界の穴が閉じる。


 師匠が死ぬのもコースケが死ぬのも嫌だ。

 けど、そんなことを言っている場合ではない。


「恵さん、目的地までの最終距離は?」


「一キロ程です。急ぎましょう。アクセルフォー」


 アクセルが五人全員にかけられる。

 そして、五人は恵を先頭に車顔負けのスピードで走り始めた。


「敵はナンバースの手練を捉えるほどの精鋭。油断はできない」


「早くかたをつけよう。師匠とコースケの争いも止められる」


「そうだな」


 徹は苦笑した。


「目的地は?」


 僕は問う。


「道の駅」


 恵は手短に答えた。


「了解」


 こうして、僕らは一番頼りになる支柱を失った状態で戦いに挑むことになったのだった。



続く

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