表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/274

手負いの戦い

「しっかりしろよ笹丸。もう少しだからな」


 そう言って笹丸を背負うのは緑だ。

 笹丸はあちこちから出血しており顔色が悪い。


 それを、恵が治療している。


「ひでえよなあ。俺は幻術見破って攻撃控えてたのに」


「しゃーねーだろ。お前の戦ってるところなんてしばらく見てない」


 緑は愚痴るように言う。

 笹丸は長らく荷持だった。前線に出ていないのだ。


 そして、二人は幻術に巻き込まれて同士討ちし、笹丸が重症を負った。


「しかしなんだな。流石は忍者のホルダーだよ。攻撃がまるで当たらなかったぜ」


「お前の攻撃を受けるようなら引退してるぜ」


「まあまあ」


 恵が仲裁に入る。


「完全回復まで後何分ぐらい?」


 蹴鞠が問う。


「五分ってとこですかね。帰りのゲートが見つかると良いですが」


「飛車角落ちもいいとこだぜ。徹もコトブキもいない」


「私と恵と緑でもそこらの相手を倒せるわよ」


 蹴鞠は拗ねたように言う。


「別れ道だ」


 先頭を歩いていた緑が呟くように言う。

 確かに、道は三股に別れている。


「どれを選ぶかによって誰と合流できるか決まりそうな……」


 緑は自信なさげに言う。


「どのルートを選ぶ?」


 蹴鞠は皆に問う。


「右かな」


 恵は即答した。


「根拠は?」


「女の勘」


「じゃあ、その女の勘に頼ってみますか」


 蹴鞠はそう言って歩き出そうとした。

 その時、壁の肉壁が蠢いて、二つの道を閉じた。


 残り一本の奥には禍々しいオーラを放つ少女。


「余り物の駆除か。気乗りしないな」


 そう言って、少女は手を前へと差し出す。

 灼熱の炎がその腕から放たれた。


 恵が前に出る。そして、結界を張った。


「サンクチュアリ!」


 清浄な光が大地から湧き出し攻撃を弾く。


「貴女がこの異界のボスですか?」


 恵は問う。


「そうとも言えるし、そうでないとも言える」


 そう言って、少女は次の魔法陣を空中に描く。

 氷の刃が出来上がり、サンクチュアリの結界に突き刺さった。


「緑君」


 恵は手短に言う。


「前衛お願い」


「笹丸、死ぬなよ」


 そう言って笹丸を下ろすと、緑はくないを呼び出し、戦闘態勢に移った。



続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ