部活会議
放課後、僕は部活で会議の場を持つことにした。
僕一人で決められることではないと思ったからだ。
異界の探索には危険が伴う。
だから、行くなら皆に納得して行ってほしいという思いがある。
帰らずの異界。
その探索に皆、各々の反応を見せた。
特に純子を除く女性陣は表情が曇った。
「私達はそれで一度痛い目を見てますからね」
と恵。
「お菓子のダンジョンだって聞いていったらアークスの縄張りだったことがあります」
「それについては俺も気になることがある。帰ってくる者がいないなら、行けば幸せになるなんて誰が吹聴してるんだ?」
と、緑。
「ちょっと胡散臭いぜ、これは」
緑の言うことは尤もだ。
「けど、俺達が攻略しなければ行方不明になった人々は帰ってこない」
と、徹。
流石は勇者のホルダーの面目躍如といったところか。
「なにが待っていようと、俺達なら攻略できるはずだ」
「軽く言ってくれるぜ」
呆れたように緑が言う。
沈黙が漂った。
「私は、行きたい」
と、優子。
「行方不明者の中に、友達がいるんだ」
ばつが悪そうに言う。
「そういう事情なら、協力するのにやぶさかでもないな」
緑が苦笑顔で言う。
「どの道、こっちには空間を操るユニコーンのホルダーがいる。行ってヤバイなら撤退すればいい話さ」
飄々とコースケが言う。
「つか、あんたんとこの構成員の仕業じゃないわよね」
と、師匠。
「僕だって自分の組織の全体像を把握しているわけじゃないさ」
コースケはやはり飄々としている。
「それじゃあ行こうか。皆が幸せになれるっていう帰らずの異界へ」
「胡散臭いけどな」
緑はやはり乗り気ではないらしい。
「助けよう、皆を」
僕の言葉に、皆が頷いた。
続く




