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「はぁ~。ほんと、あんたの子には思えない。」


 今日も今日とて学校に来ているパトリックを眺めながらアニッサが失礼極まりない発言をする。


「あ?どこからどう見ても俺の子だろうが。」

「見た目はね。逆にどんな教育したらあんな素晴らしいおじいさまが居てあんたみたいな下種野郎が育つわけ?」

「はぁ?歴代最高魔導士予定だぞ?素晴らしいだろ。」

「いい?パトリック。パパにだけは似ちゃだめよ。」

「おい。」

「それ、未来でもアニッサさんいつも言ってる。」

「おい!」


 未来でもって、ほんとお前はいつまでも失礼な奴だな。



 今は戦闘訓練の時間だ。

 俺らは卒業して正式に魔導士になったら戦闘からは免れない。基本的に魔導士は学園卒業後組合に所属するため、依頼があれば戦地に赴くし、魔物討伐なんてしょっちゅうだ。学生である見習いのうちから実地研修、課外訓練などといって派遣されることも可笑しくない。だから学生のうちから戦闘訓練を行うのだが…。




「おい!ボケナス!だから脇が甘いっつってんだろうがっ!」

「うるっさい、なっ!」

「ソフィア、集中。」

「ぎゃっ!」

「はぁ…。外野も黙っててくれ。ソフィアの気が散るだろう。」


 ソフィアは治癒魔法においては同級生の中で一番秀でている。むしろ現存の魔導士の中でもトップクラスの実力だ。

 しかし、戦闘魔法も防御魔法もからっきしダメなのだ。攻撃魔法が使えないから魔道具を使っての体術でカバーするが、見てられないぐらいどん臭いというか…。


 クリフの一撃で地面に突っ伏したソフィアを上から見下ろす。


「お前、本当に成長しねぇな。」

「…うるさいバカ。」

「次は俺だ。しごきまくってやる。」

「ちょっとー。ソフィアに休憩ぐらいさせてあげてよ。」

「…絶対エイデンから一本とるんだから…。」

「ダメだねアニッサ。本人がやる気満々だ。」

「楽しみだな。そう言って何年だ?」

「~~~~!」

「「はぁ~。」」

 

 俺の挑発にソフィアが引っかかって特訓を始める。いつもの流れだ。


「え…?…パパがマ…、ソフィアさんと手合わせするの?」

「ん?」


 呆れたようにアニッサとクリフがため息を吐き、パトリックが何か言ったような気がする。――が、すでに俺とソフィアの訓練は開始していた。

 ソフィアへと殴りかると寸での所で避けたソフィアがハラディで切りかかってくる。


「だから動作がデカくて隙ができやすいんだよ!ドアホ!」

「っ!」


 顔面めがけて切りこまれたハラディをしゃがんで避け、ガラ空きになった脇腹に蹴りを入れる。

 そこに突如現れた防御魔法(シールド)に両者とも驚くが、ソフィアは好機を見逃さずクロスボウを空間から引き出し俺に向かって容赦なく放った。

 だからと言ってヤラレる訳もなく、背を反って矢を避け、クロスボウを構えるソフィアの腕を掴み、反った勢いのまま背後へ投げ飛ばす。そして俺の怒りの矛先は外野へ向かった。



「おい!誰だよ今邪魔したのっ!」


 見学に興じていたクリフらの方へ視線を向けると、驚いた表情で両手を突き出しているパトリックと視線が合った。

 クリフ、アニッサの視線も下に下がり、パトリックへと皆の視線が集まる。



「だ…、だって、ソフィアさんが…、ケガするかなって…。」


 防御魔法でソフィアに助太刀したのはパトリックだった。

 そこに投げ飛ばされたソフィアが戻ってくる。


「パトリックが助けてくれたの?ありがとう。」

「おい。弱っちい奴が甘えんな。パトリックも邪魔すんじゃねぇ。」

「…だって、パパが…。」

「はぁ…。俺が何だよ。弱い者いじめしているみたいに言うなや。」

「実際発言がそれに近いけどね。」

「うるせっ!…良いか、パトリック。俺らは力をつけなきゃ()られちまう。だから訓練は本気でやるんだよ。痛い目見て学んで身体で覚える方が早いんだ。それに、俺らは治癒魔法も出来るし死にさえしなきゃ傷なんて治る。」


 心配そうに顔を臥せるパトリックにクリフ、アニッサが目線を合わせる様にしゃがみこんだ。


「…まぁ、…子どもに見せるのは早かったかもね。」

「大丈夫よパトリック。これでも相手を死なせないように手加減してやってるから。ね?ソフィア。」

「…!う、うん!」


 話を振られたソフィアが一瞬で傷を消し、パトリックを抱き上げた。




「ほら、私は大丈夫だから!…ごめんね、びっくりした、よね?……あれ?」


「―…パパ、ぼくとも手合わせして。」



 パトリックが顔を上げた瞬間、闘争意識を燃やしたような瞳が現れ、皆の顔がポカンとなった。


(泣いてんのかと思ったじゃねぇかっ!!!) 














「…で?いつになく楽しんだようだな。」

「はは…。」



 3時間ぶっ続けでの戦闘訓練が終了し、オデッセがグラウンドへやってきた頃にはソフィア以外の全員が屍となっていた。

 未来の俺に鍛えられたとか言うパトリックの実力は見事だった。年齢の割には良く動けているし、攻撃魔法・防御魔法の質もかなり良い。しかし、それを見ていたクリフ、アニッサが悪乗りしてパトリック側についたため、かなり大規模な戦闘が始まったのだ。3対1って狡いだろ。



「午後は課外実習行くぞ。」

「おい鬼畜教師!これ見てそんなこと良く言えるな!」

「私お腹すいた…。」

「久しぶりに疲れたよ…。」

「声が出るなら元気だな。ホラ、あと3秒でお前ら現地飛ばすぞ。」


「「「…っ!」」」


 教師とは思えない暴挙に絶句していると、ソフィアが治癒魔法を一気にかけてくれた。マジであの教師すぐに魔獣の居る場所に飛ばしやがった。10秒は待ってくれたけど。サンドイッチくれたけど!そこじゃねぇから!!

アルファポリス様で先行公開しております。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/228701778/530610766

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