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「…ごめんなさい。私の夫なので、安易な接触は控えて欲しいです。」
「…ソフィア…?」
ソフィアの気配が近づいてるなとは思ったが、今まで客が居る場に出てくることなんて無かったから正直ソフィアの行動には驚いた。しかもいつも笑顔でいることの方が多いソフィアが硬い表情でイリノスの魔女の手を掴んでいるのだからなおさらだ。
「…カリナさん、ごめんなさい。昨日言いそびれましたが、塔の組合長、エイデン・デュ・シメオンの妻、ソフィアと申します。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。」
「…いえ…、そうだったのですね。…それで、お休み中とお聞きしておりましたが、奥様がなぜここに?」
ピリつく空気に口を挟むのをやめる。二人は顔見知りなのか?しかし、女の笑顔の端から漏れる剣呑な空気に思わず眉間に皺が寄る。昨日?何があった?ソフィアの様子が変だったのはこの女のせいか?
「…カリナさんにお話があるのですが、場所を変えても良いですか?」
「は?おい、ソフィア…」
「もちろんです。」
俺のことを無視して進んでいく会話に、ソフィア、と再び声を掛ければ「エイデンは着いてこないでね。」と釘を刺されてしまった。5人のイリノスの魔法使いを引き連れて離れていく小さな背中。俺は有無を言わさず横に居たクリフとオデッセに魔法をかけて姿を消した。もちろん自分も。
「おい…、」
「いや、だって行くしかないでしょ。」
「来るなって言われただろうが。」
「何言ってんの!?あんな厳つい男4人とマムシみたいな女にソフィアが連れていかれたんだぞ!?」
嫌そうな、めんどくさそうな顔をしたオデッセが信じられない。お前の可愛い生徒だろうが!「連れていかれたんじゃなくて、ソフィアが連れて行ったんだけど。」と言うクリフの細かい指摘もどうだっていい。
「そもそも塔は魔法禁止だろうが。組合長のお前が何規則破ってんだよ。」
「バレないように魔法発動させるときの魔力も隠したから無問題。現にアラーム鳴ってないだろ?」
「先生、それ俺何度言っても聞かなかったから、諦めた。」
「…お前が諦めたらもう終わりだな。」
いや、そんなことより、ソフィアだろ!
ごちゃごちゃとうるさいクリフとオデッセを引き連れて俺はソフィアの跡を追う。すると、中庭の中央、東屋がある場所の近くまで行くとソフィアの凛とした声が響いた。
「私は、…エイデンのことを愛しています。」
「…。」
(………は?)
日曜日にはこのエピソードも終了します(^^)




