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「いや、まじで何かおかしい。」
「…何が?」
俺の発言に組合長室で作業してたクリフが律義に返事を返す。いや、本当におかしいのだ。昨晩クリフが帰宅した後、ソフィアとイチャイチャし倒した。それはもう俺の下で乱れるソフィアは可愛いしエロいしとてつもなく愛おしかったが、ふとした時の表情に違和感を覚えるのだ。
「…ソフィアがいつもと違う。」
「なんだそれ、まだ言ってたのか?」
「いつもより0.5秒ぐらい早く視線を逸らす。」
「怖ぇよ。」
お前の観察眼は対ソフィアになるとマジで怖い、と白目を向けてこちらを見やるクリフを後目に俺は昨晩の出来事を思い出す。
しつこくし過ぎたか?それとも痛かった?いや、でも悦さそうにしていたけど…、俺がよかったから見誤ったか?
でも、そんな視線じゃない。どちらかというと戸惑い、気後れ、葛藤、そして羞恥といった様な視線だった。昨晩じゃなくてその前に何かしたか?救護室でなんかあった?うんうんと唸る俺を無視して作業を再開したらしいクリフがあ、と呟いた。
「そういえば今日例の件でオデッセ先生来てくれるって。多分そろそろ応接室に着くと思うけど。」
「話が早いな。」
「善は急げだからね。」
流石クリフ。昨日の今日でオデッセを連れてくるとは。まぁ、俺らが卒業してから担任を外されたらしいから授業が無ければフリーなんだろうけど。それでもどんな手を使えば話の翌日にジャン・クリフトフ学園の教師を塔に呼びつけることが出来るのか。ニコニコと楽しそうな笑顔を浮かべるコイツの表情からして上を脅したに違いない。詳しいことを聞かず、んじゃ行くか、と組合長室を後にした。
◇
ソフィアは痛む腰に手を当て、今日も塔へと足を運んでいた。治癒魔法で癒してしまえばすぐに良くなる鈍痛は、その痛みさえも愛おしく、なんだかんだそのまま痛みを引きずりながらソフィアは目的の人物を探す。
本来ならば夫であるエイデンに先に伝えたかったが、昨夜はなんだかんだうやむやに終わり結局は伝えることが出来なかった。
いつもとは違う熱を持った飢えた瞳で見つめられ、一糸纏わぬ姿へとなってしまえば思考など無意味で。そのままなし崩しに朝を迎えてしまい羞恥と疲労で決意が揺らいだが、再び意を決して家を出た。そして今この場に居るのだが。
塔の中庭沿いの廊下を歩いていると、あの鈴を転がしたような綺麗な声が聞こえ足を止めた。視線を向けるとやはり探していた眩しい姿。そしてエイデン。
「ソフィアがそう感じたなら、それが全てだよ。女の第六感は鋭い。だから売られた喧嘩は買うべきよ。」と頭の中でアニッサの発言が蘇る。
王者の余裕だと言うが、自信はあっても余裕などない。人の気持ちは変わるもの。絶対などない。これは女の勝負だ。
「ふふふっ、エイデン様ったら…」と彼女が笑顔でエイデンの腕に触れようとしたため――、私はカリナさんの手がエイデンに触れる前にその手をとった。
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