9
「ア、アニッサ、…私どうしよう…。」
「何?離婚?」
開口一番言われた言葉にドキッとする。いや、いつも相談事をすると必ず返される返事なのだが、今はシャレにならない。
「…離婚…、」
「え?マジな話?詳しく。」
休憩中のアニッサは素早い動きで彼女専用の第六訓練室のドアに『不在』とプレートを掛け鍵をかけた。彼女の指パッチンで準備された目の前のおいしそうなティーパーティー用の茶器に目を輝かせる余裕は今はない。
「で?何があったの?あいつぶっ殺してこようか?」
「いや、違うの…、なんていうか…。」
頼もしくもカッコいい友人に私は制止をかける。言い出すにも言い出しにくい私にどうしたの?と優しく問いかけてくるアニッサ。仕事の合間にこんな話をしても良いのかと葛藤するが、話を聞いてもらわないと私自身この気持ちをどうしたらいいのかわからない。静かに私が口を開くまで待ってくれているアニッサに、私は意を決してアニッサを見つめた。
「アニッサ……、……………私、エイデンの事すごい好きみたい…。」
「ごめん、なんて?」
自分でも顔が真っ赤になっていることなど自覚している。自分で言っておいてすごく恥ずかしい。なんだこれ。顔を両手で隠しながらあー、だのうーだの言葉にならない発言をしている私に「ソフィアじゃなければ追い出してた」などと言う彼女は私の話をちゃんと聞いてくれるようで、「で?何があってそういう話になったの?」と尋ねてくる。
言ってもいいものかと悩んだが、言わず中途半端にこんな訳も分からない相談されてもアニッサも困るだろうし、別にイリノスの魔法使いと親しいわけでもないから彼女らの肩を持たなくてもいいかと、先ほどの出来事を伝えた。
「…へぇ…、で、そのマウントとってくるイリノスの魔女に嫉妬したってわけね。」
「いや、マウントとってるかは…、」
「とってるでしょ。明らかに。褒められた、綺麗だって言われた、これからも仲良くしたいって言われた。本当にあいつがその女に言ったのかは定かじゃないけどね。」
「う~ん…、」
「それに、周りも輪になってソフィアに信じ込ませようとしているのが腹立つわ。本人が言うより周りが客観的に見てそうだったっていう情報は信憑性が高くなる。視線が熱いだの、愛おしそうだの、何を見て言ってんのか知らないけどね。バッカじゃないの。」
なぜかその場にいた私よりも怒り心頭な様子のアニッサにたじろぐ。
えーっと、私は何の話をしようとしていたんだっけ。
「で、でも、あの人たちは私がエイデンと結婚していること知らないからそういった会話をしたんだろうし…。」
「そこよそこ。そこからソフィアは間違ってるわ。なんでその女らがソフィアの事を知らないって前提で話してるわけ?」
アニッサの発言に虚をつかれる。だって、彼らは私のことを知らないように話すから。『エイデンの妻』について。
「わざとでしょ。どうでもいいような相手に既婚の男から言い寄られているんだって話すると思う?初対面で?」
…なるほど。うーん…、確かに、変、なのか?
言われてみればそうかもしれないが、自然な会話の流れでもあったような気もする…。しかし、私が本来アニッサの部屋に来た理由はマウントどうこうのそこではないのだ。再び恥ずかしくなった私は視線を逸らしながらあのね、と口を開く。
評価ポイントがついに100ポイントになったんですよ!
わーい٩( ᐛ )و
めちゃ嬉しいです!評価していただきありがとうございます!




