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「私、アニッサ!女の子がいるなんて私本っ当に嬉しいっ!」
「あ、ありがとう…。私ソフィア。ソフィア・メイフィールド…。」
アニッサと名乗った女の子は私の手を握ると上下にぶんぶんと大きく振り上げた。その背後ではアニッサに殴られた頭を掻いている男子が二人。背が高く、身体付きの良い見た目はやや近寄りがたい印象だ。
私の視線の先に気づいたのか、アニッサが一歩離れ背後を振りかえった。
「あ、ごめんね。あっちにいる無駄に図体がデカい奴らも同じクラスよ。青い方がクリフ・オーエン、黄色い方がエイデン・デュ・シメオン。あいつらのことは無視しても良いから。」
「…!」
「無視は流石に止めてくれよ。ソフィアって呼んでいい?俺はクリフで良いよ。女の子は大歓迎だ。」
「よ…、よろしく…。」
「寄るな色魔。ソフィアこいつらのことは本当に無視して。」
「色魔だななんて酷いな…。健全な男子の反応だろう?」
「それがキモイ。」
静かだった教室が賑やかになる。ワイのワイのと騒いでいるアニッサが魔導士の二頭と呼ばれる二大家門の一人だったとは。何というか、二大家門だなんて言われているから緊張していたが、いい意味で普通というか、いい人そうで良かった。そしてもう一人の名門、シメオン家のご令息に視線を移す。キラキラと輝く金髪に宝石の様な青い瞳は王子様みたいな――
「なんか、コイツしょぼそう。魔力なんてう〇こじゃん。」
(…うん?)
綺麗な顔をしかめて発した言葉に私は耳を疑った。
「こらエイデン、初対面でそれはダメだろ?」
「だって、あいつ魔力なさすぎねぇ?クラス間違えたんじゃねぇの?」
「ごめんね、ソフィア。エイデン口が悪いからさ…。悪気は無いんだ。」
「あいつは放っておきましょ。」
「…チェッ…。」
「………。」
アニッサ、クリフの反応にいじけるシメオン家ご令息。
あのキラキラとした綺麗な顔からうん〇という言葉が出たのか?本当に?そして威厳ある二大家門だと言われているご令息がアカデミー生の様な反応をしている。
(――威厳とは…。)
現状に戸惑いつつも、先ほどから感じている違和感を問うてみる。
「あの…、その、…皆さんはもともと知り合い、なの…?」
余りにも親しい掛け合いに疑問に思わない訳ないだろう。
「あぁ、俺ら幼馴染なんだ。」
「残念なことにね。」
「そんなこと言うなよアニッサ。寂しいだろ?」
「思ってもない癖に言わないで気持ち悪い。」
やれやれと言った反応を示すクリフを無視するアニッサ。そしてその横に居るシメオン家ご令息に視線を移すと…――
(――めっちゃ睨んでる…)
その時私は悟った。アニッサ、クリフは別として、この明らかに不満そう睨んでくる王子…――
(私、滅茶苦茶歓迎されてないっ!!!)




