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グラン国内、唯一にして最高峰の魔法学校、『ジャン・クリフトフ魔法学園』の何とアッパークラスに入学できた私は、真新しい制服に袖を通し、魔導士の証、鷹が刻まれた金のコンチョを首から下げる。今日は初の登校日だ。キラキラと輝くコンチョににやける口角を引き締め私は最後の身だしなみを確認し家を後にした。
グラン国内には多くのミドルスクールがあるが、魔法を極めるための学校は国内で一つだけ。どんなにミドルスクールでいい成績を出し、魔法の素養があっても『ジャン・クリフトフ魔法学園』に入学できなければ魔導士にはなれない。
入学できなかった生徒は魔導士の補佐をする仕事に就くか、生活魔法を生業にしたりするか、はたまた魔法とはかけ離れた生活を送るか、だが、魔導士のお給料は大変良いので私は家族を養うためにも何としてでも『ジャン・クリフトフ魔法学園』に入学しなければならなかった。そんな理由で?と思われるかもしれないが、悲しいかな世界はお金で回っている。生きていくにはお金が必要不可欠なのだ。
幸い治癒魔法が長けていたため、入学できたが、なんとアッパークラスに入学できるとは。
迷子にならないようにと少し早めに家を出たため教室にはまだ誰も来てはいなかった。広い教室に並んでいるのは4つの机。今年アッパークラスに入学できたのはたったの4人。これでも多い方らしい。
去年アッパークラスに入学できた生徒は一人もおらず、一学年上の先輩が0人という驚きの現状だ。
(ーー魔導士の二頭…)
私は4つ並んだ机を見ながら、一人心の中で呟く。
魔導士には二大家門と言わる昔から優れた魔術師を輩出し続けている有名な家門がある。シメオン家とパラノフ家。そのご息女がなんと私と同世代におり、今年揃って入学するのだ。
いや、その二人がアッパークラスに入学しているかは分からないが、この4席のうち二つはその家門の子らで間違いないだろう。来たる同級生に緊張しながら、とりあえず一番端の席に座る。するとワイワイと廊下から賑やかな声が聞こえてきた。
『今年のアッパー生は4人らしいよ。』
『あ?俺とお前とアニッサと後誰?』
『さぁ、そこまでは分からないけど。どんな子だろうね。』
『女の子がいいわ私。頼むからこれ以上むさくるしくならないでほしい。』
『爽やかの間違えだろう?』
『どうせ男だろ。女でもお前みたいにゴリラなんじゃね?』
『エイデン殺すわよ。』
聞こえた会話に、聞かなかったふりをした方が良いのかどうかと戸惑っていると、無惨にもすぐに教室の扉は開く。
「…あ、…………どうも…。」
「お、ゴリラではないね。ラッキーだ。」
「隠れメスゴリラかも。」
「やだやだやだっ!本当に女の子じゃないっ!」
これが私と同級生の初会合であった。




