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「忘れ物ない?必要なものは全部持った?」

「いや、遠足前じゃねぇんだし…。来るときも何も持ってきてねぇし…。」


 ついにこの日が来てしまった。

 パトリックがいることが当たり前になり過ぎててコイツが帰らないといけない存在だということを忘れていた。


 俺が未来から帰ってきて今日が3日目。パトリックに「仲良くなったパパとママが見たい」と言われ、すでに見てるじゃんって思ったら本来の時間軸の俺らの事をさしていた。



(…そうだよな…。コイツにとって俺らは実際の両親とはまた違うよな…。)




「パパ、泣かないで…?」

「…………泣いてねえけど…。」

「…ふふっ…。本当だ。エイデン泣きそうな顔してる。」

「…!?」


 パトリックの発言に否定の意を唱えたが、ソフィアにまで指摘され俺は視線を背けた。しかし真下から痛いほどの視線を感じ、俺は観念してパトリックへ視線を合わせる。


「…泣いてはねぇけど、すっげぇ寂しい…。」

「…パパ、ぼくもだよ…。」

「…一緒に来てくれてありがとうな…。」

「うん…。」


 それにしても、未来に帰れると豪語していたパトリックの帰路の手段が『俺』を使うことだったとはあの時は想像もしてはいなかった。策士かこいつは。



「…じゃぁ、戻るか…。」

「うん…。…あのね、パパ、ママ。」

「「…?」」

「…ここではまだぼくいないけど、ぼくを産んでくれてありがとう。…ぼく、パパとママの子に生まれてすごく幸せ!」

「…っ!」

 パトリックの言葉に俺は目に力を入れて込み上げるものを耐える。


「…未来の『俺』に伝えてほしい事があるんだけど…。」

「…?なに?」

「皆で幸せになれよって言うのと…、――いつも素直でいろって。」

「…!うんっ!」



 俺はパトリックをソフィアごと抱きしめ、細かく魔力を計算する。座標は俺がこの前飛んだ未来の実家だ。チリっと悲しい静電気が火花を散らす。



「…じゃぁ…、飛ばすからな、パトリック。」

「パトリック…、元気でね。」

「じゃぁ、パパ、ママ、未来でまってるね。」


 バチっと一層稲妻が走った瞬間、腕の中に居たぬくもりが消えた。


「……っ。」

「……いっちゃったね…。」

「…あぁ…。」

「寂しい?」

「うん。」

「あら、素直…。」

「まぁな…。」


 俺の返事に眉を下げて微笑むソフィア。俺は胸の中に居残った虚しい残渣を埋めように、ソフィアを正面から抱きしめた。するとエイデン!?と未だスキンシップに慣れないソフィアがもぞもぞと逃げようとしたため、さらに力を込めて逃がさないようにする。

 観念したのかおとなしくなったが、手の置き場がないのかおろおろしている様子に笑えてくる。

 可愛らしい反応をするソフィアのお陰で調子を取り戻した俺はソフィアの肩に頭を乗せてポツリと呟いた。



「…パトリックか…。」

「…?」

「何でパトリックって名前にしたんだろうって…。」

「…な、何でだろうね?」

「ソフィア。」

「ん?」

「愛してる。」

「…っ!?」

「…妊娠したらさ、」

「に、妊娠!?」

「傍でお腹が大きくなるの一緒に楽しみたいし、辛いときは俺何だってするし、出産するときは絶対立ち合いたい…。」

「え!?あ、うん…、ありがとう…?」

「だからさ、」

「…?」

「今から作る?…子ども。」

「…っ!?」




未来の息子がやってきた!?【完】


 

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