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「わっ!!」
「…。」
ソフィアの元に行こうとは思っていたが、ソフィアのベッドの上に落ちるとは予想していなかった。幸いにもソフィアは身体を起こしていたから押し倒すような体勢にはならなかったが――、
(…どんだけ焦って来たんだよっ!俺っ!)
「…エイデン…?」
「わっ、わりぃっ!!」
慌ててソフィアの上から飛び降りる。場所は学園の保健室だ。先ほどソフィアと会ってからどれだけの時間が経ったのだろうか。直後ぐらいを想定して来たのだが。
「…エイデン?大丈夫なの…?」
「…?」
「いや、…今さっき泣きそうな顔して出て行ったじゃない…。」
「…。」
時間はジャストだったようだ。
俺からしたらある程度時間が経ったような気がするが、ソフィアからしたら俺が出て行ったのは先ほどの出来事。怒って出てった奴が急に上から降ってくるという意味のわからない状況だろう。
しかし、先ほど切羽詰まったようなソフィアの表情を見たからか、頭に疑問符を浮かべているソフィアの表情に感慨深く感じついつい見つめてしまう。
血色のいい頬やツヤのある唇。サラサラな桃色の髪に、澄んだ湖の様な瞳。俺がいつも惹かれて止まないソフィアという存在。見た目だけじゃない。いつも笑顔で一生懸命で、努力を惜しまない小さな背中。自分に厳しく、他人に優しく、周りの人のために怒り、泣き、傷つき、それでも前を向いて歩いていける眩しい少女。
ソフィアに全て伝えよう。自分の不器用で幼稚な行動の理由を。
バカにされたって良い。餓鬼だって言われたって良い。
全てを伝えて、ゆっくり口説いて、それで…――
「結婚して?」
「…へ?」
「…え?」
(……えぇぇええええ!?えっ!?俺今なんつったっ!?何口走った!?)
自分の発言が信じられない。いや、気のせいだろう。一瞬夢の世界にでもイッちゃってたのだとソフィアへと視線を動かすと、――
「…は?」
目を見開きながら首まで顔を真っ赤にしているソフィアと目があった。
「え…、ソ…、ソフィアさん…?」
「え!?なっ!?何っ!?何の冗談!?」
「いや、冗談じゃないっ!冗談にするなっ!」
慌てふためくソフィアの両手を握りソフィアの顔をまじまじと覗く。
瞳に膜を貼り、これ以上にないほど真っ赤に染まり上がった頬。手のひらから滲んだ汗でしっとりとソフィアの柔肌が俺の肌に吸いついてくる。
「…は?…可愛い過ぎんだけど…。」
「…!?」
「ねぇ、可愛い。マジで可愛い。何でそんなに可愛いの?」
「エ、エイデンっ!?」
「どうしたの?頭でも打ったの?」と俺から離れようとするソフィアの手を一層強く握りしめ、逃げないように距離を詰める。
これは確実に『脈あり』な反応なのではないだろうか。なぜ俺は今まで意地を張ってソフィアにアプローチをかけなかったのか。こんなにも可愛らしい反応が見れたかもしれないのに。俺は一年以上を無駄に過ごしてしまったんじゃないのか?
「ねぇ、結婚して?めっちゃ好き。多分一年の頃からずっと好き。」
「エ、エイデンッ!」
「ねぇ、お前はどうなの?俺の事どう思ってるの?」
「どうも何もっ!エイデンはクラスメイトで…っ!」
「じゃぁなに?お前クリフにもプロポーズされたらこんな反応すんのかよ。」
「…っ!それは…、」
目を見開き口ごもるソフィア。マジでこれはマジなんじゃ。
「ねぇ、何でこっち見てくれねぇの?俺の顔が王子様みたいだから?」
「…っ!?」
ソフィアの顔が一層赤らみ、遂に瞳から羞恥の涙が零れ落ちた。その涙がとてつもなく綺麗で、愛おしくて、自然と顔が近づいた。驚くソフィアを尻目に軽やかなリップ音を立て頬を流れた宝石を拾い上げる。
「…っ!」
「ソフィアしかいらない。ソフィアじゃなきゃダメ。…ソフィアが欲しい。なぁ、俺と結婚して?」
「~~~!…エ、エイデンと私は、育った環境も違い過ぎるよ…。エイデンの周りは私を許さないだろうし、私の両親も…――、」
「大丈夫大丈夫。全部許可とってるから。」
「…っ!?」
(…嘘だけどね。)
何故未来の俺が嘘をついてまでソフィアとの結婚を押し通したのか身をもって理解する。
(確かにこれは…、抗えん…。)
「…なんで急に…、」
「あー…、色々理由はあるけど…。一番の理由はお前と幸せな未来を送りたいから。…パトリックも一緒にな。」
「…っ!?エ…、エイデン…?」
「…?」
「…な、…何でここでパトリックの名前が…、」
「もうわかるだろ?」
「…っ!」
「俺とお前の子どもだよ。」
悪戯が成功した子供のように笑顔で答えるとソフィアがよく分からない悲鳴を上げた。そんなところも可愛い。
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/228701778/530610766




