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「……じゃぁ、俺帰るわ。…その貴族の女のこと、頼んだぞ。」
「良いよ。こればかりは俺もアニッサも容赦しないからね。」
「パパ?どこ行くの?」
俺が魔力を計算しているとパトリックが俺の手を引いた。
「あー、帰るわ。…パパは家にいるだろうから、安心しな?」
「ママのところに帰るの?」
「うん。」
「今から仲直りしにいくの?」
「そう。」
「…ぼくも行っていい?」
「は?」
「ぼく、もっとパパとママの役にたちたいっ!」
キラキラと瞳を輝かせるパトリックになんて答えれば良いのか迷う。
「パトリック、止めておきな。時間を渡るってそうそう出来る事じゃないんだよ。エイデンだから出来てる訳であって、それを誰かも一緒に連れて行くっていうのは…――、」
「あ~、なるほど…。」
俺は思わず声が出た。
「分かった、お前も過去に行こう。」
「はぁ?」
クリフが珍しく訝し気な表情を浮かべる。
「出来るのか?無理するな?」
「大事な息子をそう危険にさらすわけないだろ?余裕。」
「……ほんと、お前常識破りだよな。」
「サンキュー。」
「…。」
ウインク付きで返事をするとクリフは白けた視線を俺に向けた。このやり取りは健在なようだ。
「むかしのパパとママに会える?パパとママ仲良し?」
「おー、仲良し仲良し。」
「本当に大丈夫か?確かソフィアが怪我した後ってお前らギスギスしてたじゃん…。まぁ、主にお前が、だけど。」
「大丈夫、大丈夫。あ…、でも…そうだな…、…パトリックは俺が戻るもう少し前に行ってもらう。」
「なんで?」
「今から口説きに行くから。」
俺の発言にクリフが吹き出した。
「はははっ!それは良いな。」
「開き直った俺からは逃れられないぜ?」
「やれやれ。今までうじうじしてたのが嘘みたいだよ。随分と吹っ切れたな。」
「まぁな。その女このこともあるけど、こうなった原因も分かったしな。」
「…。」
クリフは何も言わず眦を下げる。
「パパ、ぼくはパパと一緒じゃないの?」
「あ~、悪い。パパはやることあるからゆっくり追い付いてきてくれ。」
「…一つ聞くけど、そのころのエイデンってパトリックの事知ってるの?」
「……知らねぇな…。」
「え~、それは心配だな…。…パトリック、もし過去のパパが怖かったら俺かソフィアにくっ付いてな?」
「おいっ!何だよ怖いってっ!」
「それだよそれ。今はそういうの無いけど、学生の頃のエイデン短気じゃん。初対面の相手にそのトーンで来ちゃうと女・子どもは怖がっちゃうよ?」
「…っうぐっ…!」
言い返せない。
「とりあえずパトリック、学校に行けば俺もソフィアもいるだろうからさ。学校に行きな、学校に。」
「パパとママの学校?」
「そう。ついでに俺もアニッサもいる学校。」
「っ!うんっ!学校にいくっ!!」
るんるんとピクニックに行く前の子どもみたいに俺の手を握りぶんぶんと振り回すパトリックは相当はしゃいでる。
「というか、何でお前が帰るより前なんだ?仲直りした後にすれば良くない?」
「ここに来て知ったんだけど、同時空に二人存在出来るんだよ。」
「?」
「過去に今居んの。パトリック。」
「…!?…あぁ~、なるほどね…。…なんとなくお前がここに来た理由が分かったわ。」
察しの良いクリフが笑う。
「…とりあえずパトリック、向こうに行ったらソフィアにはソフィアの子だってバレないようにな。」
「なんで…?」
「ややこしくなるから。…俺が仲直りしたらママって言っていいから。」
「わかった…。…パパは?」
「俺はパパで良いよ。」
「うんっ!!…ぼく何をおてつだいしたらいい?」
「お前は居るだけで良いよ。」
「え~…。」
プク~っと頬を膨らませてすねるパトリックは年相応に見える。そう思うと過去に跳んだ時のパトリックは少し緊張していたのだろうか。
「あ~分かった。じゃぁ、一つだけ俺からの伝言を『俺』に伝えてもらっても良いか?」
「うんっ!なにっ!?」
「素直になれって。」
「…?」
「ぷはっ…。これ以上ない助言だな。」
「だろ?…まぁ、俺が聞く耳を持つかは定かじゃねぇけどな。…よしっ!先に送るぞパトリック。」
俺は再び魔力を練りだし計算式を編み出す。一度やったものだ。要領は得ている。手応えはあったから無事あそこに送れただろう。次は俺だ。
「エイデン、」
あと少しで魔法陣が完成という時に陣の外からクリフの声が掛かる。
「…幸せになれよ。」
「……っ!……お前もなっ!!」
やっぱりあいつは最高の相棒だ!
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