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「おい、面貸せ。」
「…!?………コスプレか…?」
俺は塔へ戻ってクリフを見つけるとすぐさまその道を塞いだ。…コイツは相変わらずふざけたことを言う。
「はい?お前とソフィアが結婚した経緯を詳しく話せ?」
「あぁ。お前が知っている話、洗いざらい全てな。」
俺らは先ほど未来の『俺』とクリフが話をしていた執務室へと戻る。コイツの話を聞くと俺が組合長になったのは間違いないようだ。
「過去から来たって…、お前は本当に常識破りというか、何というか…。」
「うるさい。ほら、時間が無いんだ。早く話せ。」
「…そういう自分勝手なところ相変わらずだな…。いや、今が変わらないっていうのか…?」
「だ~か~らっ!早くしろよっ!!」
「…短気なところは今は少し治ったよ?」
「そこじゃねぇんだよっ!早くしろってっ!!」
わかったわかった。懐かしくて。と笑顔を浮かべるクリフに苛立ちがしぼむ。今度は紅茶は出さずにお互い執務室のソファに向い合わせで座った。
「あれは忘れもしない卒業式の日だな。」
ようやく話し始めた大人クリフを眺めながら話を聞く。――が、
「…というか、その前に。お前はいつのエイデンなんだ?」
「科学者と反魔導集団が学園を襲ってソフィアが怪我した日。ほら、そんな事いいから早く話せ。」
「あぁ…、なるほどな…。……ははっ…。」
「笑いごとじゃねぇんだよ。早くしろ。」
「はいはい。…ちゃんと話すからせかすなよ…。じゃぁ話しは早いよ。お前はソフィアの傷は自分のせいだと思ってソフィアと距離をおいてた。でもそんなんじゃダメだろって俺とアニッサが説得して卒業式の日に仲直りする機会を設けたんだ。そしたら何をとち狂ったのかお前はその日にプロポーズして、まさかのソフィアもそれを承諾したんだよ。」
「は?意味わからん。」
「お前が言うな…。……その時のアニッサと言ったら滅茶苦茶ブチギレてたぞ。お前ごときがソフィアにプロポーズすんなってな。」
「…お前ごときって…。」
「でも、そう言われてもしょうがないぐらいお前はソフィアを避けてたよ。…しかも、ソフィアの親に了承も得てないのにその時嘘ついて許可とったとか言ってプロポーズ終わった後すぐにソフィアの実家に行ってたな…。『どうせ俺はシメオン家で拒否られるはずないから許可とってたようなもんだろ』とかすごい自論繰り広げてね。」
「……。」
「…で、何も知らされていなかったお前のおじい様は大激怒。塔の組合長になることと、その時学園を襲った例の科学者が国境で暴れていたからそいつらを根絶やしにすることを条件に結婚を許したんだ。…まぁ、後から聞いた話によると、別に結婚に反対していた訳ではなくお前にそれをやらせたかったからいい理由ができたって仰ってたけどね…。」
(…あの糞じじぃ…。ソフィアを人質に俺を働かせるなんて…。)
「でも、おじい様もまさか科学者の弾圧にあそこまで手こずるとは思わなかったらしい。そこはソフィアに申し訳ないって言ってたよ。」
「…。」
まぁ、俺とソフィアの結婚の経緯と俺がなんで結婚後ずっと家に居なかったのかは分かった。だが――
「…じゃあ何で俺とソフィア今仲悪いんだよ?まともに顔も合わせてねぇみたいだけど?」
俺が質問するとクリフは一瞬動きを止めた。
「………いや、」
「全部吐けよ。」
「口が悪いな。」
「そんなの未来も変わってねぇだろ。」
「いや、今のエイデンは言葉遣いには気を付けてるよ…。…なんていうかな…、……お前とソフィアの間には子どもがいるんだ。」
「は?知ってるよ。パトリックだろ?」
「なんだ…、知ってたのか…。」
「で?それが?」
なおも発言を躊躇するクリフに俺は魔力を指先に集める。
「無理やり喋らされたいか?」
「はぁ…。乱暴だな。…分かったよ。…本当は未来あるお前にはあまり伝えたくはないんだけど…。」
魔法で無理やり口を割ろうと思ったが、そこまでしなくても良いようだ。クリフはしぶしぶと口を開いた。
「ソフィアは君が好きで結婚した訳ではない。」
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