20
〇〇年○月○日
出産はすごく痛かったけど、治癒魔法が使えてよかったとこれほどまでに思ったことはない。エイデンに似て金色でまつ毛の長いすごく可愛らしい子が生まれた。全然会えてないからかな。エイデンが喜んでくれるか不安になる。
(いや、嬉しいし喜ぶに決まってるだろっ!!…っつうかっ!何でお産の時に俺はソフィアの傍に居ねぇんだよっ!!!)
俺は未来の『俺』が余りにもソフィアの傍に居なさ過ぎて苛立ちが止まらない。客観的に見てもこれはダメだ。ダメな夫だ。
(おい『俺』っ!!ソフィアの事が好きなんだろ…!?)
○○年○月○日
エイデンが遠征から帰ってきた。生まれた我が子を抱いて泣きそうな顔をしていた。私にも「ありがとう。」って声かけてくれた。エイデンと会話するのっていつぶりだろう。会わな過ぎてなんかマヒしてきた気がする。これだけですごく嬉しい。
(いや、それだけで嬉しいってお前バカなの!?自分の腹痛めて俺の子を生んでくれたんだから俺の方が嬉しいに決まってるだろっ!…というか、むしろ妊娠中も出産時も居なかった俺を恨めよっ!!いや、お前…、本当バカなの!!??)
ソフィアの反応にも理解が苦しむ。思わず振り返ってベッドに横になっているソフィアを胡乱げな瞳で見つめてしまった。
「…はぁ…。」
痛む頭に眉間を揉みながらページをめくっって読み進める。するといつもとは違った内容が書かれた日付を見つめる。
〇〇年○月○日
どうしても来てほしいという依頼があったからパトリックのことはレイモンさんとマリアンナさんに任せて塔に出勤した。みんな出産を祝ってくれたしいたわってくれて嬉しかった。でも、嬉しかったのはそこで終わり。そこで私はこの結婚の事実を知ってしまった。エイデンは私のことが好きじゃない。私の傷痕の責任をとる形で私を娶ったらしい。
今考えると納得がいく。卒業まで言葉も交わさなかったのに急に結婚だって言って、結婚後はろくに屋敷に戻らなかった。そもそも好きだって言われたことがない。
よくよく考えると可笑しいことばかりじゃないか。浮かれてしまっていた私はそんなことにも気づかなかった。エイデンがいつも優しかったから。無理させてしまっていたのだろうか。
でも、エイデンの傍から離れたくないと思っている自分がいる。
今更になって私はエイデンのことがすごく好きだったんだって気づいちゃった。バカだなぁ。私はどうしたらいいんだろう。
「…は?」
思わず声が出てしまった。
(…は?…責任とる…?俺がソフィアの事を好きじゃない…?…バカ言え、お前相手だと餓鬼みたいに意地悪なことして構ってもらうことしかできない奴なんだぞ!?この俺が!!)
そこでソフィアの『私はエイデンのことがすごく好きだったんだって気づいちゃった』という文字に視線を移す。
(…ソフィアが俺を好き…?いつからだ?こいつの日記読んでても碌なことしてねぇじゃねぇか、俺…!?)
さっぱりソフィアの気持ちが分からずソフィアの『好き』という文字に疑心暗鬼になるが、じゃあどうして魔力暴走する程俺から離れたくなったのか読み進める。
(………なるほどな…。)
なんとなくソフィア側の事情は分かった。
「…残るは…。」
ソフィアを傷つけたクズな俺の状況を把握しなくては。
アルファポリス様で先行公開しております。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/228701778/530610766




