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「いや~、ダメじゃないか。避妊はしっかりしなきゃ。」
「だから知らねぇって言ってるだろうが!」
「え~。認知拒否?それは最低だよ。友達辞めようかな。」
「お前面白がってるだろ!」
後ろで大根役者のごとく大げさなリアクションをとるクリフをもう相棒とは呼ばないと決意し、目の前の『ミニマム俺』を眺める。どう見ても瓜二つ。よくよく感じ取れば俺に似た魔力も混ざっていてどう考えても血縁を疑わざるを得ない。
「………おい…、お前…。俺が、パパだと…?」
「うん…。でも、昔のパパってなんか…、あくとうみたい。」
「ブフッ!」
遂に吹き出したクリフに雷を落とす。(物理)
しかし、どう考えても可笑しい。ソフィアのことがあってからはそういうことはご無沙汰だし、遊んでたのはほんの数年前だ。
「…おい餓鬼。…お前何歳だ?」
「ガキじゃないよ。パトリック。パトリック・デュ・シメオン。5さいだよ。………パパ素直になって?」
「あ゛ぁ!?」
(何が素直になって、だ!…しかも5歳だぁ!?んじゃ何か?俺は11~12歳でヤって孕ませたって!?馬鹿野郎!そのころ俺は童貞だ!)
しかし、堂々とこちらを見つめ、自身をパトリック・デュ・シメオンだと名乗る相手に思わず狼狽える。お互いが何も発さず静かに見つめ合っていると、
「エイデン、流石に筆おろしの時期は俺の負けだ。」
と空気の読めない発言が響き、体内でブチっと血管が切れる音がした。
「うるっせえわ!俺の童貞卒業は15歳だって言っただろうが!」
「認知はしてあげな?可哀そうだろ?」
「だからっ――!」
「パパ、ぼく学校に行きたい!」
「あ?」
「?」
雷から復活したクリフがまた俺をからかい始めた時、パトリックと名乗った餓鬼が俺の手を引っ張り言い放った言葉に、俺とクリフは口を紡いだ。
「ぼく、未来から来たんだ。」
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