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「わっ!…パパ?」
「………。」
自室へ空間移動したため部屋にいたパトリックを驚かせてしまった。何も知らない顔で見つめてくるパトリックに胸が苦しくなる。
「パパ…、ママは…。」
(……だよな。)
案の定ソフィアについて聞いてきたパトリックに俺は再び胸が締め付けられた。
「…………ごめん。」
「!?」
「………ソフィア、守れなかった…。」
ぽたぽたと地面に落ちる水滴に涙が流れていることを自覚する。
ダサい。ダサすぎる。5歳にしかならない我が子に涙を見せるなんて。何で泣いているのか自分でも分からない。
「パパ…。……いい子、いい子。」
「…っ。」
パトリックが一生懸命手を伸ばし俺の身体を撫でる。俺は思わずしゃがみ込んで小さな身体を抱きしめた。
「…ごめん。ごめんな…。」
「パパ、大丈夫?」
この子の優しさはソフィア似なんだろう。確かに見た目は俺にそっくりだけど性格は100%ソフィア譲りだ。相手のことを思いやれる、相手の燻ぶって蟠っているものを受け止め受け入れる。
「…………パパ、ママのこと好き…?」
「…?」
「ママのこと好き?」
なぜこのタイミングでそんな質問をしてくるのか分からない。しかし、まっすぐ純粋な声色に、俺は今まで言えずにいた言葉がするりと素直に口から出た。
「………好き…、……すっげぇ好き…。」
愛情が溢れる様にボロボロと涙が零れ落ちる。
しかし、こんな泣きじゃくるダサい親を前にしてパトリックは心底嬉しそうな笑顔をみせた。
「ぼくもママ好き。ママのこと大好きなパパも大好き…!」
だが笑顔から一変、パトリックは眉を下げ俺の袖を掴みながらポロリと漏らす
「でもママ、パパがママのこときらいだと思ってるよ…。」
「…?」
「いつも言うんだ。ママのキズは人を守ったあかしのキズだって。でも、パパはキズのせいでママのこときらいだからおうちに帰ってこないんだって。」
「…?」
「いつもぼく、ママと一緒か、パパと一緒。でも、ママとパパ一緒の時ないの。たまに一緒の時あるけど、すぐパパいなくなっちゃう。ぜんぜんママとおしゃべりしないの。」
「……。」
「でも、パパはパパがママ守れないからママがケガしないようにぼくに守ってっていうの。」
「…。」
「パパもママもときどき泣いてる…。」
「………。」
「パパ…、パパとママ、たすけられる?…仲直りできるんだよね?」
「…………おう。」
俺は今ある魔力を総動員して計算する。
「……ちょっと、俺お前の居たところに行ってみるわ…。」
何故パトリックはここに来たんだ?未来で俺らになにが起きてるんだ?なぜ俺らは結婚した?
泣いて、ソフィアへの気持ちを言葉にして、俺の中で何かがすっきりした。
ソフィアに対しての罪悪感は未だある。だけどそれよりも、今動かないと取り返しのつかないことになりそうで怖い。
魔力を細かく計算し魔法陣を編み出す。頭の血管が切れたような気がするけど構わない。パトリックが陣の外から心配そうに俺を見上げる。
「パパ?」
「大丈夫。……今度は絶対助けるから。…良い子にしてろよ。」
ブツンッと視界がブラックアウトし、気づけば執務室の様な場所へと移動していた。
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