13
「エイデン、次、お前呼ばれてるぞ。」
「…。」
「エイデン…。」
ソフィアが傷を負った。人造人間を造る際に何をしたのか分かんねぇけど、傷の治りが悪く痕が消えなかったらしい。
(パトリックから事前に情報を得ていたのに…、)
(…パトリックと約束したのに…。)
(俺が傍に居たのに…、)
(なんで…――)
「…はぁ。何考えてんのか分かんないけど…。エイデン、お前のせいじゃないよ。」
「…………俺があいつをすぐに殺しておけばこんなことにならなかった…。」
「…。」
「調べようなんて考えないですぐに殺せば…。」
「いや、お前の判断は正しかった。…むしろ、学園長は科学者が造った人造人間をお前が炭にしたことを怒ってると思うけど。」
「…。」
シーンと静まる保健室に横たわるソフィアの顔は穏やかだ。しかし、その背に癒えない傷痕が残ってしまったのは事実。
(…俺が…―、)
「…はぁ。…いい加減ムカつくからその辛気臭い顔止めてくれない?あんたの気持ちも分かるけど、そんな顔されたらたまったもんじゃないわ。あんたはソフィアに感謝の言葉を伝えれば良いのよ。」
「…………頼んでない…。」
「あ゛?それ、ソフィアに言うんじゃないわよ。」
「……。」
「…ま、エイデンの気持ちも分かるけどね…。」
「…ソフィアの気持ちにもなってよ。」
「もちろん。ソフィアの気持ちもね。俺はいつだって中立だから。」
「ん…、」
「っ!ソフィア…?」
ソフィアの口から零れた小さな声に俺は急いで立ち上がり顔を覗きこむ。すると綺麗な澄んだ瞳が瞼から顔を出した。
「あれ…?エイデン…?」
「…っ!」
「やっほ。おはようソフィア。」
「久しぶりに派手にやったね。」
「アニッサ…、クリフも…。」
アニッサとクリフはソフィアと一言二言話すと、「じゃあ、まずは二人で話しな。」とすぐに部屋を出ていった。
二人を背で見送り、俺はソフィアを真正面から見つめる。いつもと同じような笑顔をで「どうしたの?」などとほざくソフィアに、アニッサに止められていたにも関わらず感情が爆発する。
「…何でんなことしたんだよ…。」
「ん?」
「何で俺を庇ったのかって聞いてんだよっ!俺なら避けれたしお前が出る幕もなかったっ!!!」
「………そっか。」
「…っ」
(…違う、そうじゃない。そういう事が言いたいんじゃない。そんな顔させたいんじゃない。)
「でも…、身体が動いちゃったからしょうがないじゃん。たしかにエイデンなら私が庇わなくても大丈夫だったかもしれない。…でも、あのとき人造人間を倒せるのはエイデンしか居なかった。だから、私が負傷か戦死する方が良いと思ったの。」
「…っ!お前なっ!死んでも負傷か戦死なんて言うんじゃねぇっ!」
「あはは、ごめんて…。………でも、そんなに言うことないじゃん…。」
「あ?」
「エイデンが怪我した可能性だってある。それはゼロじゃないでしょ?咄嗟に動いちゃったってのもあるけど、あの時の最善の行動だったと思うけど。」
「…っ!それが余計なことだって言ってんだよ!俺をかばって俺に恩をうったつもりかよ!?」
「!…そんなこと考える訳ないじゃん!」
「お前のその考えなしの行動のせいでおまえの傷痕は一生癒えないんだぞ!?」
「私たちは魔導士なんだよ?生きてりゃ傷なんてそりゃできるよ。…それに、クラスメイトを守ることの何が悪いの?」
「迷惑だっつってんだよっ!お前は足手まといでしかねぇんだよ!!!」
「…っ!足手まといでもあんたをかばえた!役に立ったじゃんっ!!!」
ソフィアの発言に俺は声を失った。
(こいつ、今なんて言った…?)
――ソフィアが俺をかばったのは
「………ハハっ…。そうかよ…。俺の役に立ったってわけな…。」
思わず片手で顔を隠す。こんな顔ソフィアに見せられない。苦しい。痛い。辛い。憎い。
――…何もかもが憎い。
「……帰るわ。」
「…エ、エイデン?」
「…悪かったな。」
「どうしたの?大丈…――、」
これ以上話をしたくなくて俺はソフィアから逃げた。
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