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「エイデンさん…!」
「ミドルクラスのひよこ組はこんぐらいでへばるのか?同じ学生として嘆かわしいぜ。…………あ?…てか、おまえらソフィアから治癒魔法かけてもらってんの?良いご身分だな。」
「「「うっ…。」」」
エイデンが到着したことにより一気に希望の光りが見えたが、それはそれ、これはこれである。
エイデンは自分よりも弱い存在に容赦ない。発破をかけているつもりなのか、なんなのか。だからアニッサに性格ゴミクズ糞野郎と言われるのだ。
「…エイデン…。」
「あ?お前も行くなっつったのになんでここに来たんだよ。弱っちい癖によ。」
いつになく冷たい目で見下されたじろぐ。しかし引いてなど居られない。
「…私だってちゃんと召集されたわ。アッパー生だもの。」
「帰れ帰れ。お前が束になってったって俺の小指にも敵わねぇんだから。」
「それでも役には立つわ。」
「立たねぇよ。」
「…っ!一年の時よりもずっと私は戦える!そこはちゃんと認めてよ!」
「あ?認めて貰いたきゃ俺に傷一つでも作ってから言えや。」
私の背後で再び炎が燃える音がした。いつの間に近くに寄っていたのか。人工獣が咆哮を上げながら一瞬にして灰になる。
「…っ!」
「足手まといだ。帰れ。」
「……お言葉ですが、エイデンさん…。…ソフィアさんは私たちを治癒し、団体の戦力を上げてくれました。…それに、彼女自身、攻撃魔法が使えないにも関わらず私らと比べ物にならないほど戦えます…。彼女が来てくれなかったら死者が出たかもしれません…。」
「あ゛?」
ミドル生の一人がかばってエイデンへと物申してくれた。しかしエイデンの視線は今まで以上に冷えきり、彼の魔力で空気がぴりつく。
(…何でそこまで否定するの…?
…………最近、すごく仲良くなれたと思ったのに…。)
「キャー!!」
「…っ!」
緊張した空気を切り裂いたのは劈くような悲鳴だった。
声がした方へと振り向き思わず息を飲む。人2人分はありそうな巨体に動物の様な顔、その手には学生であろう生徒が引きずられている。
(…っあれは…、本当に人工獣…!?それとも…、もしかして人造人間…!?)
「…おいおい。ナニ造ってんだよ、下種野郎が…。神様にでもなったつもりか?」
「…っ!」
驚きで一瞬思考が停止してしまったが、エイデンの声でハッとし急いで人造人間に引きずられている学生へと治癒魔法を施す。
「…酷い…。」
身体を診ると内臓がぐちゃぐちゃになっており、生きていたのも奇跡的な程だった。これは治癒に時間がかかる。
…ヒュッ――
「…っ!」
ドゴーンッ!!
「…っおい!ぼーっとすんなやっ!死にてぇのかよ!?」
頬にツーと暖かい何かが垂れる。確認すると血だった。今私はエイデンに抱えられて宙に浮いている。先ほど私が居た場所は…?
「…っ!」
|人造人間≪ホムンクルス≫が拳を降ろしてそこには立っていた。地面が抉れ、砂埃がパラパラと舞っている。あの場に未だ居たら確実に死んでいただろう。
「あ、…ありが…――、」
「キャー!」
「おいっ!逃げろっ!」
人造人間がミドル生に襲い掛かった。急いで治癒魔法をかけるが間に合わない。
「エ、エイデン…っ!」
「はいはい。巻き込まれたくなかったら避けろよ、ミドル。」
自分を認めてほしいと言ったばかりで彼を頼るのは何とも不甲斐ないが、この状況を打破できるのは彼のみだ。
こんな状況でも私の呼びかけにエイデンは気だるげに返事をし、私を抱えていない方の手を前に出した。
「気持ち悪いんだよ。燃えろ。」
ゴォォオオ!
けたたましい音を立て人造人間が燃え上がる。が――、
「…!」
その炎を纏いながら人造人間が殴りかかってきた。
エイデンは私を抱えたまま後ろへ跳び距離を作るが、人造人間の動きは早い。
「…ッチ!…ほんと、何が混ざってんだよっ!ソフィア投げるぞ!」
「え…?」
エイデンの発言を理解する間もなく私は宙に投げ飛ばされた。空中で体勢を整え着地し、エイデンの方を見ようと顔を上げると突風が襲いかかった。思わず腕で顔を隠し、状況を確認する。
エイデンが放った攻撃魔法を人造人間は軽々避け、殴りかかる。しかし、エイデンも人造人間の腕を避けその腕を掴むと中から腕を破壊し腕をもぎ取った。爆音が響き渡り衝撃波が学園の敷地を破壊する。
「…す、すごい…。」
異次元レベルの戦いに思わず声が漏れる。
『足手まとい』
いつもエイデンに言われている言葉がいつになく胸に刺さる。
(クリフとアニッサは、一人で門を守れるぐらい強いのに…。)
――私は…?
アルファポリス様で先行公開しております。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/228701778/530610766




