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 グラン国南西部の森の中。鬱蒼(うっそう)と茂るうざったい草を踏みつぶしながら、俺はきょろきょろと辺りを見渡した。


「おいおい。課外授業って言っておきながら今日も引率居ねぇじゃねぇか。」

「ソフィアは攻撃魔法が使えないんだ。女子班に先生が付くのはしょうがないよ。」


 俺は不満を溢しながら手の平から炎を放ち、大きな口を広げ目前に迫った魔獣を灰にする。その横で俺の相棒はデコピンの要領で魔力を放ち、熊のように大きな蜂を破裂させた。




 グラン国内、唯一にして最高峰の魔法学校。『ジャン・クリフトフ魔法学園』のアッパークラスに在籍しているエイデン・デュ・シメオンは、再び襲い掛かってくる魔物を見ることなく手の平から炎を放ち仕留める。


「はいはい。またソフィアかよ。あいつほんと、使いもんにならねぇな。」

「こら。そんなこと言っちゃだめだろ。攻撃魔法が(つたな)くてもソフィアの治癒魔法は学園長折り紙付きなんだから。」

「でも俺らだって治癒魔法使えるじゃん。あいついらねぇし。」

「アニッサは使えないだろう。それに、俺らの治癒魔法じゃソフィアには敵わない。」

「…はぁ。ほんと、お前らあいつに優しすぎ。」

「またそんなこと言って。素直に心配だから課外実習は留守番しててって言えばいいのに。」

「…。」


 ニヤニヤとこちらを見てくる相棒に黙って炎を放つ。すると「バ~リア~」などと子供じみた発言をしながら、相棒ことクリフ・オーエンは防御魔法でシールドを作った。


 俺らの代でアッパークラスに入学出来たのは4人だった。男は俺とクリフ。女はソフィアとアニッサ。この4名。

 俺とクリフは入学当初から攻撃魔法・防御魔法・治癒魔法全て使いこなせていたのだが、アニッサが使えたのは攻撃魔法と防御魔法のみ。ソフィアにいたっては未だに治癒魔法しか上手く使いこなせない。

 実はそんな愚図で間抜けで俺らの代の足を引っ張ることしかしてねぇソフィアに恋してもう1年近い。我ながら何が理由でソフィアに惹かれてしまったのか未だに理解できないが、今や愚図で間抜けな所さえも可愛く思えてしまうのだから恋は恐ろしい。




「そろそろ素直にならなきゃ、本当に嫌われるよ?」

「うるせぇ!分かってんだよ!」

「はいはい。」


 そう。俺は一年間もソフィアに恋しているのに未だ告げることが出来ないどころか、口を開くと意地悪な事ばかり言ってしまうのだ。

 きっと始まりが悪かった。入学当初はソフィアがどんくさ過ぎてどっちかというと本当に嫌っていたのだ。だから態度も悪かったのは自覚している。それがどういういきさつか自然と目で追いかけ、世話を焼き、気づけば好きになっていたのだ。

 …いや、気づけばというよりかは周りに指摘されて自覚したんだけど、問題はそこではない。

 

「そろそろ時間じゃない?粗方駆除出来たし、学校戻る?」

「……だな。ってか俺ら頑張り過ぎだろ。組合の魔導士たちも働けっての。」

「それについては同感。」


 再びここには居ないソフィアの事を考えてしまっていた。時間さえあればソフィアのことを思い浮かべてしまうのだから我ながら結構キてると思う。

 


 思考を悟らせないように文句を言いながら歩みを進めたその時だ。


――突如として背後に大きな魔力が現れた。




 異常事態に俺とクリフは同時に振りかえる。






「……ほぉ。誰だか知らねぇけど、俺らの背後を取るなんていい度胸じゃねぇか。」

「確かに。これはかなりの手練れかな?」

「ぶっ潰す。」

「こら。味方かもしれないだろ?始めから喧嘩腰はだめだよ。」

「はぁ?学生二人しか居ないこんな魔物特別警戒区域に急に現れるなんて絶対怪しいだろうが!」

「はいはい。短気短気。」


 「やれやれ」と、あたかも俺を駄々こねる子どものように扱うクリフに苛立つが、俺はその怒りの矛先を侵入者に向け、長い脚でずんずんと草が生い茂る道を進む。


 事実、学生の内から魔導士を狙う反魔導集団(アンチメイジ)科学者(スカラー)が居るのだ。まぁ、俺からしたら蟻みたいな奴らだが。

 売られた喧嘩は買うのみだ、と草を描き分け開けた場所にたどりつくと――






「…………は?」


「あ、パパ!」






 ミニマムサイズの俺がいた。

※アルファポリス様で先行公開しております

https://www.alphapolis.co.jp/novel/228701778/530610766

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