謁見と仲直り
「リフィアっ!いや、リフィア嬢。本当に申し訳なかった。」
「殿下、遅れてしまいますわ。行きましょう。」
「あ、あぁ・・・」
耳の垂れた犬みたいになっている殿下。
私はわざと謝罪に返事をしなかった。
だから、殿下はショックを受けているみたい。
ふふ、こんな可愛らしくなってしまって。
あまりに可愛らしいものだから、許しても良いかしら、と思ってしまった。
でも、まだダメだ。
ちゃんと、何についての謝罪か聞いてからじゃなければ、許せないわ。
エスコートされながら、そんなことを考えている。
メイドや、騎士が端に避けて、お辞儀をしていく様は、とても美しい。
そんなこと、してくれなくてもいいのにな、なんて思うけれど、王太子妃としては無理なんだと理解もできてしまう。
私たちは、仲直りできないまま、陛下と王妃の私室へとたどり着いてしまった。
_コンコン_
ノックをして、しばらくすると、陛下の執事がドアを開けてくれた。
「失礼します。」
殿下がお辞儀をするのに合わせて、私も頭を下げる。
「お忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。」
「よいよい。だが、焦ったぞ。」
「申し訳ございません。」
「フフッ、あなた。もういいじゃない。フィアちゃんが、一番きくお叱りをしたじゃない。」
「っ!!」
「当たり前でしょう?影から、報告を受けているよ。私はフィアちゃんの味方よ。というか、フィアちゃんが正しいわ。」
「うむ。わしも同感だ。まあ、照れる気持ちは分からんでもないが・・・」
「あなた?」
と、ニコリと微笑む王妃様は、とても怖かった。
「王太子の泣き顔を見せないように、恥ずかしさを押し込めてまで、気を遣ってくれたフィアちゃんに、なんという仕打ちかしらね?擁護しようがないわ?」
「本当に、申し訳なくっ」
「私じゃなくてよ!!」
「リフィア嬢、本当に申し訳なかった。ごめんなさい・・・恥ずかしかったからって、やってはいけないことだった。本当にすまない!」
そう言って頭を下げた。