リク視点
見晴らしの棟でも、いい雰囲気になっていた殿下とリフィア様。
これで私たちの心配事の一つは減ったというものだ。
よかったよかった。
お互い思いあっているのに、余所余所しかったが、これで改善して、もっと素敵なお二人になるだろう・・・と思っていたのに。
覗いていたのがバレてしまったから、後で殿下たちからおとがめがあるかもしれない・・・くらいには考えていたのだが。
これは・・・まったくの予想外だ。
カイに無理を言って、文官を走らせて、陛下たちにも心配をかけるのは・・・とがめたリフィア様が正しい。
ただ、男としては殿下の気持ちも分かるので何とも複雑だったが、大好きなリフィア様に叱られつつ、嬉しいと言われて、殿下の感情が爆発したのだろう。
一瞬見えた殿下の顔は、泣いていた。
それをリフィア様は、周囲に見せられないと気を遣われて、抱きしめられた。
あの状況では、最適解だ。
なのに、殿下は照れ隠しなのか、リフィア様をからかった。
あーあ、殿下、失敗したな。
「とわいえ、リフィア様。専用の馬車をお待ちになってくださいよ。何かあったら、どうするのですか?」
「あら。なに、リク。この国は門番も騎士も、側近も優秀よね?そんな危険な方が、最も厳重な王宮の敷地に入れるとでも?」
「俺は褒められたんだか、嫌味を言われたのか・・・」
扇を開き顔を隠すリフィア様。
あぁ~これは、嫌味が強いな。
「おほほ。でもこれは本心よ?リク、あなたも優秀。私の側近としてほぼ完璧よ?さっきの門番だって、優秀な仕事振りだったわ。まぁ、人の気持ちを汲むことに関して、どなた様は苦手なようですがね?オーホホホ」
はぁ~一難去ってまた一難。
周りの同乗した方は、リフィア様に惚れ惚れしている。
変なムシでもついてきたら、殿下に怒られるだろうな~