王宮⑥
「今すぐ結婚しよう!!フィア!!」
「え?え?ヴェン様、急にどうなされたのですか?」
「こんなに可愛いフィアを見ても、お預けなんてっ!!耐えられない!私のすべてをフィアにあげたい!」
「ヴェ、ヴェン様。少し落ち着いてくださいまし。それは現実的ではございませんよ?」
「でもでも!今すぐフィアを私だけのものにしたいんだ!それとも、やっぱりこんな醜い独占欲がある俺は受け入れられないかい?」
あ、またシュンとしてしまったわ。
「私も、ヴェン様が大好きですわ。でも、私たちは王太子と王太子妃です。順序があります。まずは、陛下と王妃様へご相談しませんと・・・」
「そうか!そうだな!そうと決まれば早速行こう!!」
あれよあれよという間に、階段を降り、側近兼護衛のカイ・リクの元に着く。
お二人の婚約者様はもういなかった。
「カイ!陛下と王妃に、今すぐ面会したい!」
「殿下、いささか急かと。」
「仕方ないだろう!急ぎだ!2人一緒ではなくて別々でもいい。最短で会いたい。」
「はあ・・・仕方ありませんね。」
そう言うと紙にサラサラと何かを書きだす。
「これ、よろしくね。」
と、近くにいた今日の殿下担当文官に、メモ紙を渡す。
文官はかしこまりましたと言って、走って行った。