平民編 第4話 絶望と願望。
「君の妹であるシュリ=オルロドルだが、勇者の指示に従わず勝手に戦闘を挑んだ為に魔物に殺された。」
「…は?」
その言葉を聞いた僕は、動揺しながらも一瞬で真実を悟る。
『シュリは殺された』
それと同時に、ヲルは自分が現実を甘く見ていた事に後悔する。
やらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかした
僕は地面へ倒れ込み、自身の無力さに体を震わす。
しかしそんな僕を見ながらも、兵たちは淡々と言葉を続けた。
「この事は、明日の昼に陛下から国民へ報告する。」
それだけ言い残すと兵たちは、王城の方へと向かって帰って行く。
騎士の言葉を聞いていた周りの人々は軽蔑するような目で僕を、そしてシュリの事を思っているのがわかった。もちろんその中に、パン屋のおばさんたちも入っている。
ヲルは自分を蔑む目で見てくる狂信者どもに軽蔑の感情を抱きながら、どうすればいいのかと自分の心に問い掛け続ける。しかしいくら冷静になろうとしても妹の死を受け入れられないヲルは、唯一の希望であったシュリとの思い出を胸に、シュリが向かうかもと言っていたフレズの森へと向かう。
そこにいるわけが無いと、死体などクレセリアが処分しているに違い無いと心のどこかで理解していながらも、ヲルは一縷の希望を胸に走り出すしかなかった。
◼️◼️◼️
僕は森の中を見回しながら全速力で走る。体力が尽きているのなど感じないほどに、涙で顔面をグシャグシャにしながら探し続けた。
しかし案の定、妹の痕跡すら見つけることはできなかった。
流石に走る事すらできなくなった僕は、呼吸を切らしながら木に背を付け倒れこむように座る。
幸いと言っていいのかわからないが、魔獣の多いと定評のあるフレズの森だったが何故か一度もそいつらが襲ってくる事はなかった。
僕は無意識に上に視線を持っていき、木の葉から溢れてくる太陽の光を見つめた。
光が歪む。それが涙という事など、今の僕にとってはどうでもよかった。
ただ、ただこれが夢であってくれと、嘘であってくれと、願う事しかできない僕が惨めで、惨めで惨めで惨めで惨めで惨めで惨めで────悔しかった。
妹との約束を守れなかった自分に腹が立つ。こんなに感情的になるのは初めてだった。
僕は涙を手で拭い、背にある木を使いながら立ち上がる。しかし走り続けたせいで体には相当な負担が来ていたようで、起き上がる前に倒れ込んでしまう。
「……」
それからもう一度、無理矢理にでも立とうとした時、何か液体が落ちる音がした。
────ポタ、ポタ……
この音の正体が血が垂れている音ではないかと考えた僕は気力で体を動かして、音の方向である木の裏を見る。
だがその音はただの水滴だったようで、もちろんそこにシュリの姿など無かった。
◾️◾️◾️
あれから少し冷静になれた僕は空が暗い時間に家へと戻る。帰り道も相変わらず魔物は襲ってこなかった。
家に着くと小さな窓ガラスが割れていたので、どうせ朝の騎士達の言葉を聞いた狂信者が嫌がらせをしてきたのだろう。
僕は玄関を開けてから中を見ると机や椅子は綺麗なままで、シュリのために作った安いご飯もそのまま置いてある。
僕はいつも自分が座る椅子に座り、机を挟んで対面にある椅子を眺めた。
それから少しして机にあるシュリに食べさせるはずだったパンをひとかじりしてみるも、やはり食欲が出なかったヲルは黒パンを元に戻し、再び対面の椅子を眺めた。シュリがいつも座る、その席をただ。
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いつの間にか寝てしまったヲルは、外から聴こえてくる狂信者どもの不快な声で起こされる。
ヲルは生きる意味を失ったような表情をしながらも、何を騒いでいるのかと外を確認した。
ヲルは貧相な体をしていながらも視力はとても良いので、特に人が集まっている王城の方向へと視線を持って行く。
すると僕の目に飛び込んできたのは、王城のテラスのような場所で見知らぬ男と一緒にいるルーティの姿だった。