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魔王城編 第3話 謎の妖精の策略。

「キミの案内を頼まれた妖精さ。魔王くん」


 先とは打って変わり人権な声色でそう言ってから数秒後、丁度俺の目の前に青く小さな光が突如灯る。


 それとほぼ同時に、その何かは再び明るい声でこう言葉を続けた。


 しかし今度はその光の方向からのみ聞こえる声だ。


「名前はないから、そこらへんよろしくー!」




 ーーーーーーーーーーーーーーー

 『今日から俺は、魔王となる。』

 ーーーーーーーーーーーーーーー




 あれが本体。もしくは、本体は別にあるのか?いや……


 それより今は情報の収集が重要だと考えた俺は、考えるのを後回しにして対話に望む。


「案内人だと?」


「そう!案内人っ!キミの向かっている、秘境へのね。」


 その言葉を聞いて、俺の頭に何か引っかかるような感覚を覚える。


 俺は村が消えたあの日以降、何故か第六感のようなものが優れていた。過酷な環境で生きてきたからこそ、共に生きてきたそれは俺の中で信頼に足るものである。


 だからこそ俺は、その感覚を糧にその本質を探る。


 何が引っかかる?

 妖精がここにいる事?

 いや、何故ここにコイツがいるのか?

 ここに住んでいる?

 可能性としてはある。

 ……いや待て。


 ここで、俺は妖精の言っていた言葉を思い出す。


『キミが向かっている、秘境へのね。』


 奴は、俺が秘境へ向かう事を断言している。


『いやー、待ってたよー!』


 奴は、俺がここに来る事を待っていた。


「ふっ」


 辿り着いた結論に、俺は失笑する。


 それを見た妖精は不思議そうな様子で空中にふわふわ浮かんでいた。


「スレーラルはお前の仲間か?」


 妖精の雰囲気が、ほんわかしたものから鋭いものへと変わる。


「へぇ、キミ」


 瞬間、その妖精と言った光から異常なまでの魔力が発せられる。それを感じた俺とラキネは、反射的に目を見開いて額からは冷や汗が浮かび上がってきた。


「存外、鋭いね」


 続いた言葉が終わると同時に先まで発していた魔力は感じられなくなり、雰囲気も先までのものへと変わる。


 それを見た俺は見開いた目を再び鋭くさせ、甘く見ていたと痛感した。


 化物め。


「彼女には、ここまで魔王を連れてきてくれたら呪いを解くって約束したのさ!その様子だと、うまくいって良かったよ。殺す手間も省けたし。」


 そんな記憶をスレーラルは持っていなかった。


 ならばこいつは、記憶まで操るのか?

 それとも死ぬと同時に消す力?


 どちらにせよ、俺の記憶も例外ではないと思っておいた方がいいかもしれない。


「案内人として教えると、秘境はここをまっすぐ行ったところさ!()()()()()し、それじゃねー!ちゃんと行ってよぉ?」


 時間だと?いや、それよりあとひとつ。


 俺は突如思い浮かんだある単語を、そいつにぶつけてみる事にした。


黄金の扉(イラーオヴィ)


 再びその化物が自身の魔力を解放させる。


 しかし今回は一瞬だった。それでも魔力を感じとるのには長すぎる時間。


 特に今回は、先のように威圧する為に故意的に出した魔力ではなく、驚きという感情と共に溢れ出てしまった魔力のようで、先よりも素の魔力を感じ取れたように思えた。


「誰に聞いたか知らないけど、それはボクの好きな花の名前だね。だから、見つけたら大切にしてくれよ?」


 嘘をつけ。


 妖精に見えた何かはそう言い終えると、その光はまるで最初から無かったかのように消えていた。


 数分間、動かず周りの様子を伺っては見たものの声が再び聞こえる事はなく、そこにあったのは最初に見つけた廃村とただただ濃い霧。


 そして『黄金の扉』という単語だけだった。





 ◾️◾️◾️





 あれから、秘境へ行くべきか否かをラキネと考えた。しかしあいつのような強者を見た俺からしたら、これ以上時間を無駄にするわけにはいかない。


 という事で妖精の言った方向へと歩き続けると数分、突如霧が晴れる。


「ここが、秘境か。」


 そこは霧に囲われていて草木は生茂り、滝が流れている。ある所では石が剥き出しになっていて、またある所では鶴が伸びていた。とても神秘的な光景だ。


 そして俺が目を向けた中心には、大きな平原が広がっていた。



















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