悪役令嬢に転生したらお義父さまがイケメンすぎた
衝動書きです。囲い込みっていいですよね……。
悪役なんて嫌だ!!!
いや死にたくないし?
自分可愛いしっていうかそもそも私あの人(婚約者)のこと好きじゃないし!!
私は嫌だーー!!
よし、ボイコットしよう
取り敢えず攻略対象には絶対近づかない!はい復唱!
でも今更婚約解消なんてできるか?
ほぼほぼ無理そう
いやむりつら
いやいやいや、だって俺様だよ?24時間年中無休でドヤ顔かましてくるんですよ?(偏見)そもそも私俺様地雷!!!
嘘だけど!!
いや、ゲームは楽しみましたよ?楽しむことがそもそもの目的ですしおすし
だけどリアルとなると……んぅぅ無理!!!
今だってほら!
「おいそこのおまえ、ずがたかいぞ」
だなんて!
何十歳も年上の人に対して!!
通るたんびに跪けとか!そんなことしてたらここに居る人みんな膝擦りむけちゃいますから!
嫌だぞ私は、護衛の服の膝のところにパッチワークがあるとか!
「おい、セリーナ、きいているのか」
はっ!つい思考に没頭してしまっていたらしい、かの俺様公爵、アーレンス様がお怒り心頭でいらっしゃる
小心者め
「すみません」
「まったく、これだからおんなはいけすかぬ」
舌っ足らずな口調で随分と……と、内心呆れ返りながら、申し訳ありません、と謝罪しておく
どうすれば婚約解消まで運べるか考えながら
向こうから言わせる形でないと
うちの方が格下だからこちらからは解消なんて出来ない
ただでさえ薄いうちの父様の頭髪が、さらに薄くなる予感しかしない
そうだ!向こうのお父様を攻略しよう!
妙案だ、よしそれでいこう
失敗したとて所詮子供のすることだ、いたずらなんかで済むだろう
あぁ、若いっていいな
──────────
まずはある程度まで相手を知って、距離を縮めなくては!
私は暇さえあればアーレンス様、ではなく、そのお父様、アルレイド様の元へ通った
え?誰だ、攻略対象には絶対近づかないって言ったのはって?
……忘れて☆
「お義父さまお義父さま」
「おやセリーナ、アーレンスのところへは行ったかい?」
「ううん、わたくしお義父さまとお話したいの」
「そうか、仕方がないね、後で挨拶はしておくんだよ?」
私は渋々頷く
ちなみにアルレイド様は独り身である
なんでも、政略結婚の末、奥様がアーレンス様を置いて、駆け落ちされたとか
アルレイド様イケメンなんだけどね
まぁだからアーレンス様の女性不信も仕方ないのかもしれないけど……
それとこれとは話が別だ!
「それで?何を話しに来てくれたのかな?」
やばい目線合わせてくれるあたり超紳士!子供の扱いが長けてらっしゃるのか?やっぱりアルレイド様は人たらしなのか!?
「えっと、このご本のことなの。
ここのところが、変なの」
平静を装って本を差し出す
アルレイド様は少し驚いた様子で、しかし直ぐに本を手に取り、真剣な眼差しでさっと目を通した
それだけの動作でこの国の女性のほとんどがアルレイド様に惚れそうなくらい美しかった
「……なんでセリーナはここが変だと思ったのかい?」
優しく紡がれるアルレイド様のバリトンボイスが脳に響く
予想通りの切り返しに予め用意しておいた答えを言う
「この条約と、この勅令、同じじきにだされているのに、言っていることが正反対なの」
これじゃあ民が混乱してしまうわ、と言うとアルレイド様がよく気づいたね、頭をするりと撫でてくださる
「この時はね、王と、臣下の者達が対立していたんだ」
「なるほど、しゅちょうのちがいからこのようなことがおきてしまったのですね」
と言うと驚いたように目を瞬き、ふっ、と頬を緩ませた
「セリーナは賢いんだね」
褒めてくれたのは本心からのようだ
嬉しいことこの上ない
がしかし、まだ成すべきことはある
「あの」
「なんだい?」
言いづらくてうじうじしていると、ゆっくりでいいから、安心して、言ってごらん、とはほえみを称えながら優しく言ってくださった
「その、……おくさまのこと、まだかなしいですか?」
「そんなことを心配していてくれたのかい?セリーナは優しくもあるんだね。
私は大丈夫さ、心配してくれてありがとう」
「いいえ、その、わたくし余計なことを……!」
「ううん、もう、大分吹っ切れているよ。
それに、セリーナが毎日のように私のところへ来てくれるから、悲しくなんてなくなるよ」
殺人級スマイル頂きましたー!!
お巡りさん……いやそれよりも医者を呼ぶべきだ!おい!誰か!医者を呼べ!もはや医者が来い!
目眩がする……
相変わらず輝いていらっしゃる美しい……
ほう……と見惚れていると不思議そうな瞳とぶつかる
はっとして慌てて取り繕う
「そうでしたのなら光栄でございます。
……あの、また明日もきていいですか?」
控えめにそう言うとアルレイド様はにこやかに了承してくださった。
──────────
「ということがありまして、またしばらくおじゃまさせて頂きますので、よろしくお願いします」
と言えば、アーレンス様は打ち合わせたかのように華麗にツッコミをくださった
「ってなにがあったんだよ!?」
その後、我に返り、恥ずかしそうに頬を染めていました
まだまだ青いですわ
「というか、またってどういうことだよ。今までもきてたのか?」
「はい。アルレイド様からきいていらっしゃらないのですか?」
「父様はきほん、むくちだし。むだなことはしない人だ。」
「お話し、あまりされないのですか?」
「いそがしい人だから。」
「アルレイド様のこと、おすきですか?」
「ん。そんけいしてるし、おれは父様みたいになりたいんだ。」
そう語る目はきらきらしていて、無邪気に笑みをかたどっていた。
「いきましょう」
私はアーレンス様の手を取って走りだした。
「ちょっと!っ待て!どこへいくっ?」
「アルレイド様の元へ」
アーレンス様は驚き、瞠目した。
「なんで──」
言い終わる前にアルレイド様の執務室の前に立ち止まる。
「さっきも言っただろ、父様はいそがしいんだ!じゃまになる……!」
「それはアルレイド様がきめることです」
等間隔をあけて執務室の荘厳な扉を3回ノックする
「アルレイド様、セリーナです」
少しの間の後、大きな扉がゆっくりと開く
「どうかしたのかい?……おや」
アルレイド様は目を瞠った
まさかアーレンス様がいるとは思っていなかったのだろう
「おふたりは、あまりおはなしをされていないようですが、それはだめです。よけいなお世話かもしれませんが、こういうことはこじれてしまう前にかいけつすべきだとおもいます。」
「セリーナ……」
アーレンス様が驚いたようにこちらを向いた
アルレイド様は何かを考えているように口元に手をやり、俯いている
数秒の後、アルレイド様が口を開いた
「セリーナには、完敗だな」
と、困ったように笑った
全米が惚れた!!惚れずにはいられない笑顔でした庇護欲がそそられますそこのメイドさん!ふらついてますが大丈夫ですかわかります!
「情けないな、本来なら家のことは内々に解決すべきなのにね。なんだかんだ言い訳して逃げていた。」
「父様……何故?」
「どんな顔をすればいいのか、分からなかったんだ。幼い息子に、母がなぜ居ないのか、上手く、説明できる気がしなかった。大事な息子をどうしたら傷つけずに済むか、分からなかった。」
「父様、おれは……しっていました。母……あの人が父様と、おれをおいてかけおちしたこと。
でも、しりませんでした。父様が、僕のためになやんでいてくれたこと。」
「そう、だったのか。私たちは互いに臆病になっていたのだな……。簡単なことだったのだな。ありがとう、セリーナ」
「お、おれからも、礼を言う。その、ありがとう……」
アーレンス様はアルレイド様が関わると途端に俺様解除されるようだ。
面白い、メモっておこうっと
「いいえ、おやくにたてたならそれで」
面と向かってこういうやりとりをするのが少々苦手なため、照れながらはにかんでおく
「セリーナ、私の元に来る気は無いかい?」
アルレイド様が唐突に言い出した言葉に私も、アーレンス様も固まった
「え、と、それは、スカウトですか?その、雇いたい、みたいな」
「いや、違うよ?家族に、厳密に言えば、私の妻になって欲しい。」
ぼんっと音をたてて顔が爆発しそうだった。
だってかの麗しの公爵当主様に求婚されているのだ、平常でいられるわけがない
「きゅ、きゅきゅ、求婚、という意で受取ってしまいますが……?」
「えぇ、是非」
きゅうこん?窮困、吸魂、吸根、仇恨、球根?……求婚……?
「えぇぇぇええっ!?」
先に断わっておく、私ではない
私はこんな、はしたなく叫んだり……しなくもない訳では無いんだから!!
「おや、アーレンス。どうかしたのかい?」
「いや、いやいやいや、父様?セリーナは僕の婚約者でしょう?」
さっきから思ってたけど、アーレンス様って素だと僕なのかな?
アルレイド様に構って欲しくてグレたり?……そう考えるとちょっと可愛い
「そうだね、でもまだ結婚はしてないし、セリーナが我が家に嫁いでくることは変わらないんだし」
「でっでも、年の差が……」
一応、アーレンスよろしく反抗してみる
「大丈夫、このくらい貴族間じゃよくあるよ」
あっさり撃沈
「それとも、私ではいやかな?」
そんな可愛い顔してしゅんとしたって、しゃがんで下から見上げてきたって……!
「よろしくお願いします!!!」
「えぇぇぇええっ!?」
あっさり負けた
その後、アルレイド様と、アーレンス様が私をめぐって、火花を散らし、結局の所、私を手に入れたのは──皆さんのご想像にお任せ致します……。
好感触だったら連載しようかなと思っていたりいなかったり。