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王女様は狂剣士 ~乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに気付いたら、すでにヒロインにざまぁされてました。その上、現在進行形で命狙われてます~  作者: 透坂雨音
第二部

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第6章 剣守の姉妹



 賑やかしい校内を歩いて、辿りついたのは目的の教室だ。

 中に入ると、歓声がした。

 教室で行われているのは、剣舞だった。


 視線を向けた先で行われているそれは、剣を使った見事な舞いだ。


 仮想敵へ繰り出される剣の技の数々が、玄人技でありながらも一般客にも分かる美しさを備えていて、まるで見えない芸術品を鑑賞しているような感じだった。


 ステラは今まで、剣を動かす事とは暴力に結び付く行為だと思ったが、あんな風に人を魅せる為の動きも出来るのだと初めて知った。


「凄いわね」

「そう、姉さんは凄い。とても凄いわ。落ちこぼれの私なんかよりも……」

「エルルカ?」


 顔を俯かせるエルルカの様子が気になるのだが、次の瞬間に声をかけられた。


「エルルカ?」


 先程まで剣舞で客を魅せていたシェリカだ。


 こちらの姿に今気づいたと言った様子で、急いで駆けてくる。


「遅いから心配した。ひょっとして迷ったの? 分からない時は私を呼んでって言ったのに」

「来れたから問題ない。姉さんは自分の事だけ考えていて。私は大丈夫だから」

「そんなこと言って。変な輩に絡まれたりしたら面倒じゃない。大丈夫だったの?」

「私は平気だから、放っておいて」

「だけど……」


 催し物を見に来るのだから仲は悪くないと思うのだが、この姉妹には色々と複雑な事情がある様だった。


「あの……」

「あら? 貴方は確かステラードさんだったわね」


 どう声をかければいいのか、と考えていると、知り合ったばかりの女生徒である相手から名前を呼ばれて驚いた。


「どうして私の名前を?」

「知らないの? 貴方、入学してから結構有名人なのよ。いつも課題の成績がトップだし、入学式初日に失礼な三年生を打ち負かしたとかって話で」

「ああ……」


 そういえば、そんな事もあった。

 前者はそうなるべくして努力したのでいいが、ともかく後者は不本意だ。あれは不幸な出来事だった。


 下級生をいびっていた三年生の行動を嗜めようとしたら、なぜか決闘になってしまって、剣で負かしたのだったか。


 あの出来事が原因で、学校中にステラの名前が知れ渡ってしまったのだったか。

 その後、生徒会会長に目を付けられて説教されたのだった。









 それから、しばらくシェリカと共に他愛のない話をしていると、姿をくらましていた先生が話しかけて来た。


「剣守、いつまでも控室に来ねぇと思ったら。ん……何だステラード、お前もこっちに来てたのか」

「先生? 何やってたんですかこんな所で。いつの間にか教室からいなくなってるし」

「何って、曲がりなりにもお前の先生やってんだから、する事するしかねぇだろ」


 する事と言われても、見た限りでは特に仕事をしているようには見えないのだが。

 と思っていると、得心が言ったようにシェリカが頷いた。


「ああ、なるほど。そういう事。つまりステラが例の人って事なのね」

「ああ、そう言うこった。何とか頼めねぇか」

「私なら構わないわ。話してて、すごく気に入った。彼女なら大丈夫だと思う」

「そうか、そりゃ良かった。だそうだ、ステラード解決したな」


 そんな風に当人だけで完結させられても困る。

 もう少しちゃんと話をしてくれないだろうか。

 できるだけ分かりやすく。かつ客観的に。


「まだ何にも説明を受けてないんだけど、もうちょっと詳しく話してくれないかしら」

「そうね。忘れてたわ。駄目じゃない。私」


 あまり今まで話した事は無かったが、これだけはステラでも分かった。

 シェリカという人は、もしかしたら天然なのかもしれない。


 と、シェリカは神妙な面持ちになって、周囲の様子を伺いながら小声で言葉を伝えてくる。


「あまり人には言わないでほしいのだけど、実は私、精霊使いなの」

「え?」

「だから、貴方の修行をつけてほしいって頼まれたのよ。勇者の後継者さんとしての」

「あ、だから……」


 それでわざわざ、店の番を放ってこのクラスまでやってきたというのか。


 そういう事なら早く言って欲しい。

 先生はほんとうに色々分かりにくい。説明不足。陰でこそこそしすぎ。


 もう少し、自分のこと言い訳してもいいのに。


「まったく、お前ら徹底的に隠れすぎだろ、突き止めるのに苦労しただろ」


 不満そうな先生の言葉にシェリカが擁護の言葉を入れる。


「仕方がないわ。精霊使いの力はとっても便利だもの。世間に知られては色々と不都合が起きるから」


 彼女の言う通りだった。


 私も自分で調べた事なのだが、精霊使いは数が少ない。


 精霊と契約して特殊な恩恵を受ける彼らは、他の人間には容易にで出来ない事でも簡単に出来てしまう。


 色々言いたい事はあるが、まずお礼だ。


「先生、ありがとうございます。それにシェリカさんも」

「シェリカでいい。私もステラって呼ぶから、それに貴方も、妹の事呼び捨てにしてるでしょう?」

「えっと、それは」


 相手は子供だし、自分より年下の子供にさん付けするのはおかしいだろうから。


 そう思ってエルルカを見つめると、なぜか気まずそうに視線をそらされる。


「私、子供じゃないから。今年で十六だから」

「え、えええっ!」


 生半可な事では驚ろいて叫ばないと、ひそかに自負していたステラだが、この時ばかりは衝撃を隠せなかった。



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