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17.竜騎士

 山と見まがうほどの、途方も無く巨大な巨人が目の前、いや数百m前に迫っている。ヘカトンケイルの名で呼ばれている化物巨人だ。確かに首のないドーム型の頭には無数の目と口があり、肩と背中からは無数の腕が伸びている。どれだけ実力があろうとも自分では、あの質量の前には到底歯が立たない。

 それでも、綱鶴(ツナツル)はそこから動かない。


「綱鶴さま!もう退いてください。」

 横で弓を鳴らし雑魚を打ち倒し続ける久三が懇願する。


「城が落ちるなら同じこと。やれるだけ殺るだけだ。」

 民のことを思うと胸が裂かれる。


「お前こそもう退がれ。」

 綱鶴は声を荒げそう命じる。


 空から落ちる巨岩のような拳を、避けるように二手に分かれると、綱鶴は回り込み、馬上から巨人の足のかかとに偃月刀を叩き付ける。切り裂くも大して効いてはいない。


 巧みな操馬で上空から雨霰の拳打を躱し続けるも、為す術がない。やがて、馬が拳打で滅茶苦茶に荒れた足場に足をとられ転倒する。投げ出された綱鶴をヘカトンケイルが踏み潰そうとする。


 危機一髪、まさにその瞬間。


 天から一筋。落ちた青い稲妻が、容赦のない恐ろしい撃音を鳴り響かせながら、巨人の肉を打ち切り裂いた!


 それは地に落ちず低空で錐揉みしながら地走り、再び舞い上がる人竜一体。


 衆人環視のなか、一刀両断で巨人が殺された。底なしの沈黙のあとに、割れる様な大歓声が湧き上がる。綱鶴は失禁していたが仕方あるまい。乗っていたのは、虜から脱出したと聞かされた、最初に情報収集したあの男だった。




 俺は、竜の胴を両股で全力に挟み込み、落とされない様に踏ん張りながら、巨剣を巨人に叩きつけ真っ二つに振り抜いた。ヘカトンケイルの倍の力だ。地表が近づくとサッピルスは上手いこと体を回転させ再上昇した。俺のことなどお構いなしだ。


 雑魚は谷風の兵に片付けられている。ヘカトンケイルが燃え尽きるように消えていくのが見える。

 そこに降りると、後に残った見事な丸盾とソフトボールより一回りほど大きな玉を呼び出したブギィに回収してもらう。綱鶴がこっちを見ているのを意識していたが、一切目を向けることなく、竜の背に戻り、飛び立つ。


 間際、ニヤリとサッピルス曰く。

「オマエ、ああいうのが好きなのか。」


「うるせぇ。そういうんじゃない。俺は別にロリコンって訳じゃないからな!」

 ムキになって逆に恥ずかしくなる。竜にロリコンとかいう言葉を発した自分に顔が熱い。



 この光景は『COD’S SITE』の各地のリアルタイム映像にて、HOT SPOTとしてフォーカスされ世界に配信されていた。最後の竜との遣り取りは聴き取られてはいなかったけれども。


 COD’S RANKING

・1位 『番狂(giant -)わせ(killing)』 Lv 72 (dragon)騎士(rider) 1150pt ヘカトンケイルの単独撃破

    活動拠点 京都 日本 出身 (the)(earth)


(dragon)騎士(rider)』は契約(assign)した竜の属性相性のレベル%分が自身の相性になる。その竜の息攻撃の威力は連発し続けても基礎威力のレベル%を下回らなくなる。騎乗時、竜の飛行速度がレベル%上がる。

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