第2話 長い長い一日
投稿遅くなり、すみません。
第二話です。
「ふえ~つかれた!!」
「お疲れ様」
「高野、今日は勉強教えてくれてサンキューな。少しコツがつかめた気がしたぜ!」
「そう、それはよかった。今度の定期テストは期待できそうだね」
「いや、それは……まあ頑張ります。でももし次も数が悪かったら教えてくれよな!!」
「だから次また教えるとは言ってないでしょ! それにそーいうことは全力で勉強してそれでも無理だったときに言ってよね! さて、じゃあ私そろそろ帰るね」
「おう、今日はいろいろすまなかったな。そんじゃまた明日学校で」
「ええ、また明日」
そう言って高野はドアを閉めると帰って行った。
「(……やべえ! やんだこの気持ちは! これが恋というやつなのか? いや、違うこんなに簡単に恋心が芽生えるはずがない、きっと何かの勘違いだ勘違い。明日になったら忘れてるさ)」
水柿鈴に何か新しい感情が芽生えたようだった。
~ 高野 side ~
「(私変じゃなかったかな? 男の子の部屋に上がったのなんか初めてだったからわかんないよ~)」
こちらはこちらで心情に何かしらの変化があったようだった。
~~~翌日、学校朝の教室~~~
「鈴、おはよー」
「おお、和真か。おはよー」
こいつは同じクラスの東雲和真だ。中学、高校と同じ学校で中学のころから仲良しだ。
「それでそれで、昨日高野さんとはどうだったんだよー。なんかあったか?」
「は?ただ勉強教えてもらっただけだぜ?なんもないよ」
「お前本気でそれ言ってんのか?女子と二人きりで部屋で勉強だぞ?なにもないってことはないだろ」
「お前の頭ん中はどういう思考回路視点だよ……ドラマじゃあるまいしなにもおきないよ」
「ちぇっ、つまんねーなー。お、先生きた。そんじゃまたあとでなー」
「おう、またあとで」
そう言っておれは席に着くと、隣にいた高野に話しかけた。
「高野おはよー」
「おはよう水柿くん」
「昨日はサンキューな。助かったぜ」
「もうその件はいいわよ。それより授業が始まるわよ」
「あ、ああ。そうだな」
「(高野ってまじめだな~。勉強にあんなに熱心になれるってホントすげー尊敬するわ)」
などと考えながら机に突っ伏していたおれはというと、いつのまにか寝ており、一時間目の記憶が全くなかった。
~~~放課後~~~
「ふわぁぁ、よく寝た」
「あなた、寝すぎよ。授業に集中できないから寝ないで」
「ごめんごめん。次からは邪魔にならないように気をつけながら寝るよ」
「そうじゃなくてできれば寝ないように気をつけてほしいんだけど……」
などといった軽い会話をしてから教室を出ると、俺は部室へと向かっていった。ちなみにおれの部活は弓道部だ。入った理由は武道が好きなところと、見学したときとてもかっこよかったからである。
~~~帰り道~~~
「(あ~、一人で下校はいつでもさびしいなー。彼女とかできたら一人じゃなくなるかな~)」
などとどーでもいいことを考えていると、後ろから駆け足で近付いてきた誰かが、俺に飛びかかってきた。
「鈴~!! いっしょにかえろ~」
「なんだ、菖蒲か。お前も今部活終わったのか?」
飛びかかってきたのは幼馴染の朝田菖蒲だった。家が近所で、幼稚園のころからの仲である。確かテニス部だったはずである。
「そーだよー! ちょうど今終わったんだ~。鈴に聞きたい話があったからちょうどよかったよ~」
「なんだ?その、聞きたい話って」
「鈴昨日さー、高野さんと部屋で二人で勉強したんでしょ?」
「またその話かよ……」
「またってなによ、またって!! 私まだこの話鈴としてないけど」
「今朝和真にもきかれたんだよ。んでなに? 『なにかあったの?』とかって聞くつもりか?」
「うん、そう! 大正解!! それで鈴、なにかあった? 」
「だから何もねーよ。そもそもドラマみたいな展開があるほうがおかしいだろ。菖蒲、さっさと帰るぞ。早くしないとおれ腹がすきすぎて死にそうだ」
「そ、そうだねそれじゃあかえろっか」
そう言って二人で小走りで帰って行った。それにしてもなんなんだほんとに、おれと高野の間でなにもあるわけないだろ。月とすっぽんぐらい違うのに。などと考えながら水柿鈴の一日はあっという間に過ぎて行った。
「(あれ?そういえばおれ今日学校でなにしてたんだ? やっべ、かえって復習しなきゃいけねえな。だりぃ)」
一日はまだまだ終わりそうになかった。
一話に続いて読んでくださりありがとうございます。
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