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サビ猫かわいいよね

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 放課後。


「ンーそんなことより、こいつを見てどう思う?」


 放課後になってクロスケが話しかけてくる。

 例によってデリも傍にいる、へいぞーは用事があるとかで先に帰って捕まらなかった。

 夏休みの謎体験について話を聞きたかったのだが、クロスケに先手を取られる。


「すごく、大きいです…」


 クロスケの指し示すスマホの画面を眺めながら、どこぞのホモのような声を上げるデリ。


「ああ、この前拾ったサビ猫か。大きくなったな」


 俺も猫は嫌いではない。むしろ大好きだ。先日の妖精も猫だったら速攻助けに入っていたはずだ。


「サビちゃんかわいいよな可憐だよな」


 つぎつぎと画面を切り替え猫画像を見せつけるクロスケ。

 しかしこいつ、さっきは聞き捨てならんセイフを吐いたよな。


「な、クロスケよ。さっきの話なんだが」

「ンー、上代公園の?勝手にやらせとけよ、悪影響ねーだろ」

「いやいやいや、そういう訳にもいかんだろ。あの魔法少女弱かったし、負けたら何かこう、世界征服されるとか割とよくないことになるんじゃね?」


 あれが見知ったクラスメイトであることは、意図的に伏せながら状況を相談する。


 杉明菜(すぎ あきな)

 斜め前に座るクラスメイトだが、それほど親しくはない。

 セミロングの髪型は特徴がなく、顔も端正ではあるが地味で特徴に乏しい。

 

 例えばこれが、クラスのアイドル的存在の美少女だの、教室の隅で物憂げに決めているクール美少女だの、やたら教師に歯向かう問題児だのだったらまだ色々リアクションの取りようはあったろう。 ま、そんな奴はこの学校にはいないのだが。

 しかし、それにしても杉明菜は特徴に乏しすぎる。


 接点がまるで無い相手ならそれなりに、距離を置くことができただろう。

 だが中途半端に席が近いせいで、挨拶はするし、たまにあたりさわりのない雑談をすることもある。

 ハッキリ言って普通のクラスメイトであり、それ以上でもそれ以下でもない関係なのだ。


 どっちかというと地味目に入る容姿の彼女が、よもや夜な夜な町を徘徊し魔法少女をやっていたなどと……ここで疑念が沸く。


 正直年齢的に無理のある格好ではないか?

 ピンクでフリフリだぜ?許されるのはギリ中学生か?

 杉さん、そんなに幼げなタイプじゃないし。大人っぽくも無いけど。


 少し考え事をしている間に、クロスケとデリは猫談議に戻ってる。


「どうして奴らは、わざわざ飲みにくい恰好で水道水を飲もうとするのか」

「猫ベッドを無視して箱の中に入るとか」


 仕方ないので。そのまま混ざる。


「バッタ捕まえて枕元に置いてくるよな」


 今日は帰ったらうち猫をモフってやるとするか。


 そして夜。

 飼っている白黒猫をモフって満足すると、俺は車庫からバイクを引っ張り出すとエンジンをかける。

 クロスケは放っておけと言っていたが、あれが何だったのか確かめておきたい。

 インナーバイザーを下していたので俺だということは分からないはずだし、彼女は俺のバイクの車種を知るほど親しい間柄ではない。

 万が一に備え念入りにプロテクターを装着する。

 コミネニー。

 コミネエルボー。

 コミネ胸部プロテクター。

 そしてそのカラーは黒とガンメタル。


「全身コミネマン、勇者ガンメタル状態にスズキの不人気車、局地的には大うけするスタイルだな」


 そして俺は走り出す、再びあの場所へ……。

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