西暦2060年7月11日
雨はさらに勢いを増す。
墓から手がでてき、徐々に体が起き上がる。
先程の埋葬された少年である。
体の色は黒く、逆立つ髪、際立つ筋肉、緋色の瞳。
Breakerの誕生である。
Breakerとなった少年は、人とは思えないほどの咆哮を出す。 その衝撃により楽園墓地は一瞬にして壊滅してしまうのであった。
そして、その場から瞬時に消え去った。
その頃
部下 「大変です!! 楽園墓地より超強力βエネルギー反応を確認!! 先程埋葬した少年と思われます!!」
中年男「バカな!! 彼は死んだはずだ!! なぜ甦った!?」
部下 「彼は異常なスピードで一番近い街へ接近中! あり得ません!!1Kmの距離をわずか30秒で移動しています!! 」
中年男 「いかん! 彼を止めるんだ! 俺らも向かうぞ!」
中年男や部下もまた、異常なスピードで街へ向かった。
だが、時既に遅し。
少年は人間の視覚の反応速度よりも速く動き、また、拳1振りで建物を破壊。さらに、そのパンチの衝撃でさらに周辺も破壊。
まさに、破壊人間であった。
その時、 「やめて!!!」
突如現れた少女は叫ぶ。
Breakerとなった少年はぴたりと止まり、少女を見つめる。少女もまた少年を見つめる。
少年は瞬時にその場を後にした。 そして少女もまた、瞬時にその場を後にする。
たった5秒での出来事であった。
≪ウゥーーーーーーーーー…≫
≪ウゥーーーーーーーーー…≫
中年男「遅かったか…」
逃げ惑う住民。必死に消火活動と人命救助する消防隊員。
崩壊する建物。止まない豪雨。
街は見るも無惨だった。
中年男「まさか…これまでとはな…」
この日は西暦2060年7月11日。
午後23時。
街は一人の少年により、消滅した。
住民が見た‘黒い何か’は、異常なスピードで動く少年の残像だったのだ。
中年男「彼を追うぞ。」
中年男と部下は少年を追った。
その様子を遠くから眺める少女。
少女「まさか…ね。」