帰り道、わたしの名前
作者は普通の恋愛物が苦手です。こっぱずかしくて見ていられません。ドラマを見ててキスシーンになると部屋から逃げ出すレベルです。ではわたしでも見られる恋愛物とは何かと考えて、男らしくて漢らしすぎる女主人公の恋愛物を書いてみようと思いました。こんな冒涜的で恋愛物界に喧嘩を売るようなラストサマーですが読んでくださると嬉しいです!
「そんじゃーお疲れ!」
「お疲れー」
優希の号令で生徒会の面々が解散する。時刻はすでに6時過ぎ、オレンジ色にきらめく陽が窓を通して部屋を柔らかく包み込む。
穏やかな初夏、ゆっくりとした時間が流れる。だが。
「ほら会長!早く行くぞ!」
「待ってよ副会長」
「早く行かなきゃ終わっちゃうだろ!!夕方セール!」
動くのがいかにも面倒という顔をする彼の袖を引っ張る。だって今日は週に1回の夕方セールで大根をゲットするという重要なミッションがあるのだ。こいつの意見なんて聞いてられない。
「ほらほら行くぞ!」
「待って…ぐえっ」
襟を引っ掴み引きずるようにして生徒会室を後にする。
今日も、いつもと変わらない幼馴染とわたしの日常。
ーーーーーー
「疲れた…」
「いやー買えた買えた。お一人様1個だからかいちょー居て助かったよ」
「俺である必要無いじゃん!」
「無いね」
「そんなきっぱりと⁉︎」
「だって会長いっつも暇でしょ?あんた一人暮らしだし」
「そうだけど…って、おい」
仏頂面の優希が正面からこちらを見てくる。
「何?」
「さっきから会長会長って。今は仕事中じゃねえんだからいつもみたいに名前で呼べよ…ソラ。」
「…っ」
わたしの名を呼びながら、持っていた買い物袋を持っていってしまう。
「ほら、先行くぞ」
「あっ待てよ…ユウっ!」
本当に、この男はズルい。不意打ちのせいで、少し。ほんとに少しだけドキッとしてしまった。
「…ばかのくせに」
「ん?ソラ何か言った?」
「なーんにも!」
隣にいると嬉しくて、楽しくて。それでも胸の中にあるもやもやとしたものの名前を、まだわたしは知らなかった。
読んでくださってありがとうございました!この買い物編はあと1話続くと思うので次も読んでいただけたら嬉しいです…!ちなみに作者はもうすぐ17才が終わってしまうことに焦ってます。この時がずっと続けばいいのに。
それではまた会える日を!