勝手にあの侍の心情を代弁してみた
あれは、一時の栄華だった。
そのころは、日本中の誰しもが私のマネをしていた。調子に乗って、テレビにもよく出演していた。そこで、憎まれ口を叩かれながらも、多くの人々をいじってきたのである。
それが、今やどうだろうか。完全にあの人は今ってところだ。一発屋。そう言いたいのなら言うがいい。
このご時世に私のギャグをやったとしても、誰も見向きはしないだろう。最悪、知らないで一蹴されることもある。子供とは実に残酷だ。
けれども、私の悩みは贅沢だと指南されることもある。私は一時とはいえ、栄光を勝ち取ったことがある身。それすら辿りつけないものもいるのだと。
それはそうかもしれない。けれども、あの一時は私にとって麻薬のようなものだった。今一度、表舞台に立ちたい。私がこの仕事を未だに続けているのも、その執念が原動力なのである。
だから、私はいじり続ける。例え、古いと蔑まされようとも。うざいと反感を買われようとも。私にとってはそれがすべてなのだから。
今日もまた、私はいじるのだ。
「忘れちゃ、ダメよ、ダメダメっていうじゃな~い。でも、あんたらも、私と同じようになりますから、残念」
この小説は実在する某お笑い芸人とは一切の関係がありません。