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カラフル・デイズ  作者: 水原琴葉(元・空野ことり)
遠足での親睦は深められるの? 
9/18

遠足の班

 * * *


 「はーい、じゃー班に移動してー」



 文字にすると伝わらないけど、我らが担任、駒紀百恵(コマキ モモエ)先生の声は大きくて力強い。あたしはこの声が大っ好きなんだ! 

 うまく言い表せないけど、好き。とにかくいいんだよ。


 今日も駒紀先生は茶色い縁のあるメガネにふっくらとした顔、二重あごに大きな鼻。そしてちっちゃい。

 見た目は30代なんだけど、実は24歳だったのでした……なーんてことが前にあったんだよね。服は以前にも見たことのある白いブラウスだった。

 でもね、すごく面白いし明るいし、絵下手だし、ちょっと可愛らしいし、生徒には人気があるよう。


 振られた班の席は真ん中の一番前。そこに移動して皆で座ると、他の班はぼちぼちと遠足のことについて話し始めていた。


 決めることは1つだけ。でも、もちろんあたしは無言。ちはも、結構ムードメーカーっぽいけど慣れていないためか喋らない。男子も「……」な状態。

 残った春子、というは案の定春子が話を切り出した。さ


「えっと、じゃあまず班のメンバー書こっか」


 でも、春子だって班長とかになりがらない性格だから、恥ずかしそうに笑っていた。偉いなー、春子は……。やっぱすごい。


 みんな何も言わずに『遠足のしおり』をパラパラめくる。メンバーを書くことろを見つけると、書き始めた。


 女子メンバーの名前を書きつつ、あたしは前で鉛筆やシャーペンを動かしている男子たちを見た。

 

 一番左はじ、千早の前にいるのはたしか、インドネシアかフィリピンかのどっかのハーフ、住吉(スミヨシ)

 肌が茶色くてこんがり焼けているみたいだけど、これは元々なんだっけ。言っちゃ悪いけど動物に例えるとしたら猿。鉛筆を使ってる……ダサっ。


 その隣、男子たちの真ん中にいるのが、天然パーマで背が小さめの小松(コマツ)。まぁ、あたしよりは大きいけど……。それで、自分のことを『僕』って言う珍しい男子なんだ。僕系男子っていうのかな? 動物に例えるとしたらトイ・プードル。


 最後に、小松の隣、つまりあたしの前にいるのが大東(ダイトウ)。黒縁メガネをかけていてみんなからは「毒舌大東」って言われてる。まぁ、ツッコミのエキスパート?


 春子が住吉に「漢字どうやって書くのー?」と聞いたので、あたしと千早もそれに便乗して見せてもらう。

 男子たちもそれに続き、全員で名前の見せ合いっこをした。あたしの名字の漢字は、わからない男子がいたからまぁまぁ喋れたの! 

 もしかしたら、メンバーの名前を書き合うことだけでもいいコミュニケーションなのかもね。


 みんながほとんど書き終えたとき、小松が裏声のような、特殊な声をあげた。


「なに決めるんだっけ?」


 変な声だなぁ……。声変わりしてないのか、男子にしては若干高めだし。っていうか見れば見るほどトイ・プードル……ぷっ。前世イヌだったんじゃないの? ってくらい。


 トイ・プードル小松の質問には、大東が答えた。


「え、どこに行くかを決めるんじゃないの?」


 こちらも特徴的な声。


「あ、そっか」


 そっかじゃないって! 話進めてくれればいいのに……。


「班長とか決めないの?」


 住吉がぼけっとした声でいうと、みんなあぁー! と声をあげる。


「じゃあ誰が班長にするー?」


 こういうときは必ず誰かを指差すものだよね。

 今も、春子以外みんな誰かを指差している――――やっぱり、春子だった。

 

 春子は「えええええー、無理無理」とか言って自分の前で手をたくさん振ってるけど、春子しかいないよね。


「えーっ、なんでよ、都だってしっかり者じゃん」


「えー、あたしのどこがよ」


 さっきから『え』を言ってばっかだなぁ……。


 春子はしばらくすると諦めて、やっと班長の座に収まった。

 残るは時計係。


「誰にする? 時計係」


「あたし時計持ってない……」


「じゃあうちやるよー」


 女子だけの話し合いとなり、あたし以外の女子二人が役割についた。やばい、あたしって超役立たずじゃん……。


 春子は先生からもらったファザー牧場のマップを広げた。


「あのね、オリエンテーションが終わってから集合までの間に自由時間があるんだけど、どこ行きたいー?」


 四隅の、あたし含めた4人は身を乗り出してマップを見、口々に言った。


「こぶたのレース可愛い﹏﹏﹏﹏!」


「ふれあい牧場行きたいなぁ」


「アヒルの大行進ってなに? ただ歩くだけ?」


「春子も子豚のレース見たいなぁー!」


 可愛いと騒ぐちは、子供のように言う小松、お得意のツッコミを披露する大東、明るく言う春子。

 あたしは大東のツッコミに笑いながら、「そうじゃない?」と相槌を打った。結構面白いなぁ、大東。


 不安だったけど、ちょっとは楽しいかもしれない。緊張して縮小した体全体の筋肉が緩んでいくみたいだよ。


 あたしはこぶたのレースかアヒルの大行進がいいな〜。――――――って、あっ!?

 あたしはおそるおそる、主にちはと春子に言った。


「ねぇ、思ったんたけどさ……。自由時間の時間に合ってないといけないし、その後の集合場所との距離も考えなくちゃいけないんじゃない? かな……」


 ううう、やっぱりみんなの前で言うのは少人数であろうと緊張します……。


 ちはは一人、え? どういうこと? と言っていて、それ以外の人は理解してそっか、じゃあコレはだめだ、などと呟いていた。


 だから、自由時間の時間に合っていて、かつオリエンテーリングの到着地点からの距離も考えなくちゃいけない。プラス、その後の集合場所のことも考えると、こぶたのレースは行けなくて――――――。


 春子が苦笑混じりに呟いた。


「これ、ふれあい牧場かアヒルの大行進しか行けるところないね〜……」


 でも、先生の言ってた、行く所を選ぶときの注意だと……。


「ふれあい牧場は行っちゃいけないんじゃないの?」


 大東とあたしの考えが見事に一致。別に嬉しくないけどね……。

 

 アヒルの大行進ね〜。

 別に決まったものにケチつけるわけじゃないけど、往復するから大変だよ〜? 集合場所とオリエンテーリングの到着地点が近いんだからさ。


 マップの写真を見ると、アヒルがわんさか歩いてて激カワ。この可愛さはヤバイよね。

 「グワッグワッ」「ガーガー」って鳴くアヒルを想像するだけで幸せ……♡

 早く見たいなぁー!


 男子は男子、女子は女子で喋りながら、グループの相談は終了した。

 



フゥ、長かった……(*´ο`*)=3

今回は、私にしては長いと思います。

だから読むの大変かもしれませんね(^_^;)

でも、ちょっとずつでも、しおりできるので読んで頂ければ幸いです。


次話もいつになく速いペースで仕上げたいと思います〜。

ではっ!

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