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4月10日
今日から体験入部期間がスタート!
一週間という長いようで短い時間を、我ら一年生に与えられた。
その一週間で仮入部する部活を決めるんだけど……。
一日目の今日は、卓球部に体験しに行ったんだ。
なんで急に? って思うよね。
よく考えたらあたしって、体育の授業以外 運動をほとんどしてない。
そりゃあ学校と家の往復はあるけど、ランニングとか筋トレなどは全くしてないわけで……。
それに、由唯にも言われたんだ。
「あんた、運動全然しないんだから運動部入りなよ」
って……。しくしく。
でも反論はできません。だってその通りなんだもん。
だから、あたしができる数少ないスポーツの中の一つ――――――卓球にしたってわけ。
行ってみると、想像していた通り、小学校の頃卓球クラブで一年間一緒だった二人の女子がいた。
二人共すごく卓球が上手くて、あたしなんか手も足も出ないくらい……い、いや、ちょっとは出るけど!
ていうか、他の小学校の女子はいないんだね……。
もしかしたら今日いないだけかもしれないけど。
先輩に両面か片面を聞かれ、答えると両面のラケットを手渡された。
そして、既にみんなが並んでいる列の後ろに立つ。やる気みなぎってるなぁ……。
練習内容は無難なものだった。
上履きとか見てないから二年か三年かわからないけど、先輩が一年の相手になって三点マッチの軽いミニ試合をしたんだ。
三点マッチというのは、どちらかが三点入れたら勝ちという、至って簡単なルール。
あたしは遊び感覚でやってたからあんまりルールがわからない。
普通は十対十かそれ以上のときにしかしないらしいんだけど、ジュース(デュース)ってやつがあるんだ。
この場合、もし二対二になってしまった場合は三点マッチが四点マッチに変わり、二連取しなきゃ勝てない。
ま、でも上の例はあたしたちの中だけだったし、時間かかるからジュースはやらなかったけどね。
今まで色々な人と対戦してきて勝ったり負けたりしてきたけど、それなりに勝ったり惜しかったりしていたから、少し自信がついていた。
けど、やっぱり現役卓球部員の先輩は強かったよ……。
上手い人にちょっと押されたとき、「やば、この子強。ちょっと本気出そ」って言ってたし。
その言葉の後、ついさっきまで優勢だったはずの一年生は負けていた。
あたしは本気出してないのに負けたのかな……。先輩たちもローテーションしてたからわからないけど。
こんな実力で自信ついてきたなんて恥ずかしい! すいません!
恥ずかしさで思わず土下座をしたくなってしまう。
明日はどうしようかな。
華道か美術か……テニスも考えてるんだ。
あ、そうそう。今日から授業もスタートしたんだよ〜。
体育が怖かった……。先生も。
中学って厳しい。きっと一番厳しいよね、小、中、高、大で。
今日は、薄い水色かも。
4月11日
今日は美術部に行った!
友達の東花と一緒に。
もちろん活動場所は美術室。
まだ授業をしてないから入ったことのない美術室は、いかにも『美術』という感じの匂いであたしたちを出迎えた。後ろとか前とか、色々ものがあって汚い。
確か、美術の先生、美術部の顧問は定年が近そうな男の先生だったな……。
匂い以外に出迎えてくれたのは、五人の先輩。
本当はあと一人いるらしいけど、訳があって学校に来てないらしい。卓球部に行った後だからすごく少なく見えてしまった。
そう、卓球部って何気に多いんだよね。
美術は基本、個人の制作。
だから普通にやっていればコミュニケーションがない。
体験では紙粘土とデッサンの二択があったけど、東花がデッサンへ行くって言ったからあたしもデッサンにした。
別にどっちでも良かったし、一人になっちゃうからやなんだもん。
今までは落書きばかりしてたから、こんな真面目に絵を書いたのって初めてかも? あ、図工の授業で書いたか。
でも、“デッサン"というのは初めてなんだ。
美術室の机は普通の机と違う。白くて、大きい。
教室の左半分の机を二つのグループに分けて、黒板側が紙粘土、その後ろがデッサンとなっていた。
でも、デッサン組はあたしと東花しかいなかった。
机の上には、いろいろな形の白いオブジェとワインの瓶。
オブジェは簡単なようで意外と難しくて、ワインの瓶を描いた。
初めてのわりには、我ながら上手く描けたと思ってしまったよ。
まぁ、東花のが断然上手かったけど!
あたしたちの他には、春子と、いつも春子と一緒にいる愛が来てた。
春子は見た目からしてスポーツが得意そうって思われがちみたいだけど、実は運動が苦手。
自称『運動オンチ』だけど、春子で運動オンチだったらあたしはなんなの!?
50メートル走だってあたしより2秒も速いじゃん。
それなのに運動オンチって言われると軽くむかつく……。自分より下がいるんだから、運動オンチでも軽いほうなの!
語りすぎちゃったけど……。
春子は絵を書くのが好き。
友達っていうより、親友の愛と一緒に紙粘土で制作してた。
愛ともあたしは繋がりがある。
過去にいろいろ問題をあたしが起こしてたから微妙な感じだけど、手紙交換を小学校のときから続けてるんだ。
東花と喋りながら置いてあった鉛筆を動かしていると、たまに先輩が数人、こちらに来た。
怖かった……!
喋ってたから「ちゃんと集中しろ!」とか怒られるのかな!? やだ、怖いよ﹏﹏﹏﹏!! ……とか思って、ビクビクしてたんだ……。
だって“中学の先輩"イメージといったら、丸めた紙を片手に手でパシパシ叩いて「喋ってないでちゃんと働け、一年!」とか言ってる人……! 映画監督みたいな?
だって上下関係が厳しいって聞いたから。
だけど、今日は思ってたよりも態度が柔らかかったかな。
あたしはビクビクしすぎたあまり、先輩が「うまいねー」と言ってくれても、アドバイスを言って頂いても、「あ、はい」「ありがとうございます」。
春子とか愛みたいに、笑いながらとか言えなかった。
それに、あのありがとう、全然嬉しそうじゃなかったかもしれない……。
あぁ〜あ、嫌な子だと思われてたらやだなぁ。
新発見!!
初めて知った!
上履きの色で学年がわかるなんて……。
黄色があたしたち一年生の学年カラーみたい。二年生が赤、三年生が青。
上履きを見て学年がわかるだなんて、すごいシステムだね……。
小学校でも取り入れて欲しかった。
ここだけの話!
実はこの作品、『カラフル・デイズ』全体が日記となっています。
だから、日記の1ページ目、2ベージ目なのです。
中1のときの一年間の予定を引っ張り出してきて書いてます。
書く順番間違えてしまいましたよ……( ´д`)