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カラフル・デイズ  作者: 水原琴葉(元・空野ことり)
中学生活スタート! −Spring−
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2ページ目

 翌日。

 あたしたち新一年生は、クラス写真を撮ったあと一度教室に戻ってから『多目的室』といえ大きな部屋に移動した。

 畳が敷いてあって、独特の香りがするの。


 ここで生徒会オリエンテーションを行うんだ。


 担任の駒紀百恵(コマキモモエ)先生から聞いた話では、この学校のこととか部活のこととかを話してくれるみたい。

 

 でも、なんとなくどんな部活があるのかは知ってる。

 ここは市立だから、近くの市立小学校と繋がりがあって小6のときに『体験入学』というのをしにここに来たんだ。

 体験入学といっても、話を聞いて、体育祭のビデオを見て、部活の体験を少しだけするだけだけどね。


 まず始めに生徒会長から順に自己紹介をしていった。

 生徒会長は小6のころのクラスメイトのお兄さん。


 それと、生徒会役員に『高橋大介』という男子がいて、一同に笑いが起こった。スケートはできないそうです。


 しっかし、あたしもつられて笑っちゃったけど、なんで名前が同じだけで笑うんだろう……。連想しちゃうっていっても彼はただスケートしてるだけなんだけど。どっか面白いポイントあった?


 なんやかんやでオリエンテーションも終了。


 小学校からの友達の由唯(ユイ)に、一緒に行こうと声をかけた。


 いいよ、と承諾され、多目的室の入り口で上履き袋に入れていた上履きを取り出し、履いてから急いで入り口から離れる。

 由唯が出てくると、あたしは由唯の隣で薄暗い廊下を歩く。



 由唯の髪は、前までまとめられるくらいの長さがあったけど、つい最近茶色いショートボブの頭になった。


 そして、いっつも背の順ではクラスの女子の一番後ろに君臨している。あたしと並ぶと20センチくらいの差があるんだ。



 あたしは由唯の顔を見上げながら尋ねた。



「由唯は何部に入りたいとか決めた?」



「あたしは陸部かなぁ」



「あぁ〜。そんなこと聞いたような気がする」



 陸部って、えっと……あ、陸上部のことか。一瞬わからなかったよ…。


 由唯は小学校の頃から足が速くて、由唯がリレー選手にならない年なんてなかった。



「都は?」



 声がざわめきで聞き取りにくい。

 あたしは元々声が小さいから、少しボリュームを上げて言った。



「あたしはね〜……華道部か、美術部かな。華道部はラクそうだし、美術部は絵を書くのが好きだから」



 華道部は週2回しかないから楽。


 でも、小6のときの体験入学のときに行ったんだけど……ペーパーフラワーがうまく作れなかった。

 初めてだし仕方ないんだろうけど、あたし不器用だし……。


 あと、仲のいい友達で華道部に行こうとしている人を見たことがない。


 だから華道部、現在迷い中。



 ふ〜ん、とうなずいてから、由唯が驚きの提案をした。



「都、陸部に入ったら?」



「え!?」



 なにを言っているの、由唯さん……。


 小学校の頃から同じクラスになったことだって何回かあったんだし、あたしの足の遅さは知ってるはず。


 あなたの横で歩いてる人は、50メートル12秒の記録を持つ女ですよ! えっへん。ある意味すごくない?



 あたしは開いた右手を胸の前でブンブン振りながら言う。



「ムリムリムリムリ! あたし足遅いもん!」



 ていうか、あたしあなたに「歩いてるみたい」って言われた記憶があるんですけど……?



 そこで教室に着くと、クラスメイトたちが帰りの支度をしていた。


 あたしたち二人はロッカーから荷物を取り出し、自分の席に戻る。



 机の中の物をリュックに入れながら、あたしはさっきの由唯の言葉を考えていた。



 ――――――『都、陸部に入ったら?』



 由唯の声が耳の奥でこだまする。あぁ、なんだか洗脳されて陸部入っちゃいそう。



 もしかして、由唯はあたしが足、絶望的に遅いから陸部入って速くしなよ、ということが言いたかったんじゃ……? それと一緒に、全くない体力と筋肉をつけなよー、とか。


 

 自分が陸上部に入部して、活動している姿を想像してみる。




 ――――真夏の焼けるような日差しの下、体操服で走るあたし。



「頑張れー!」



 そんな声があがり、それに応えたように加速する。



「いいぞいいぞ、そのまま突っ走れ!」



 顧問の先生がストップウォッチを持って大声で叫ぶ。


 ラストスパートを全力で走り切ったあたしは膝に手をつき、肩で息をして呼吸を整えていた。


 ストップウォッチを見た顧問の先生が大声をあげながら、こちらにストップウォッチを突き出し駆け寄ってくる。



「吹田、すごいぞ! 7秒56だ! 入学当時より5秒も縮まった!」



 あたしの顔に歓喜の色が広がり、仲間たちと抱き合って喜び合う。




 ――――――はっ。



 な、なにを考えているんだ都! 

 あたしは50メートル12秒の記録を持つ女!! 

 こんなことになるはずないからっ、吹田都ぉー!


 しかも、なにこの青春……。リア充かよ。


 よく考えろ。あたしが陸部に入ったとして、部活の大会のリレーはどうなる? 


 いくら足が遅くても、出さないのは可哀想だからといってなにかと出場させられるかもしれない。

 足が速くならなかったらどうする?


 迷惑かけるに決まってる。


 あたしのせいで失敗して記録が伸びるんだ。優勝を逃すんだ。

 

 だからこんなあたしが陸部に入るなんてダメー! 人様の迷惑を考えるんだ!


 

 こんなくだらないことを考えていた間に明日の連絡が済まされていて、ちょうど号令をかけようとしていたところだった。


 ふぅ、危なかったぁ……。

 あのまま考え事してたら、一人だけ席に座ってぼーっとしてて、おかしい人イメージがついちゃうところだったよ。 



 昨日決まったばかりの、ピカピカ新任学級委員長が号令をかけた。



「気をつけー、礼」



男子の中でも低い声。



「さよならー」




あたしは黒いリュックを背負って、教室を早々に出て行った。




この作品は、私の体験もかなり交えて書いております。

だからリアルにかけてるか、心配です……。

元々技術ないのでそんなことは望めませんが(笑)


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