帰りのバスにて
* * *
あぁ、疲れた……。
酔ったかも、ちょっと気持ち悪い。
あたしは青い、なにかの模様がかいてある椅子にもたれかかる。
バス内には、冷房がかかっていてひんやりとした空気。
外の暑さが嘘のような温度だ。
五月からこんな暑い暑い言ってるなんて、夏はホントどうなっちゃうんだろ……。
体を起こし、透明な窓ガラスから外を見た。
横スクロールで流れるように、お店やらマンションやら住宅やらが見える。移り変わる風景。
……つまらん。
ふぅー、と小さくため息をつくと、またあたしは後ろに倒れかかった。
暇でなにもすることがないとき、周りの声がよく聞こえる。細かいところまで。
こういうのって、結構好きなんだ。
教室で席から、みんなの様子を見るのとかね。
まぁ、あまりすることはないけど。
たいてい、暇なときは図書館から借りてきた本を読んできたから。
でも、しばらくするとつまらない会話しか聞こえなくなって、あたしは眠ることにした。
眠るのは、いい。
お腹が空いてても、気持ちが悪くても、寝てる間はその苦痛を味あわなくて済むから。
こんなときにはピッタリだよね。
本当ならごろんと横になって寝てしまいたいところだけど、今はバスの中。
そんなことはできない。
あたしは前の席に付いている折りたたみ式の机を開いた。
そこにうずくまり、腕で顔が見えないように隠して寝る。
……と言っても。
全然寝つけない……。
寝たフリして、みんなの会話を盗み聞きしてる状態。
でも、自然と耳に声が、音が、流れ込んでくるんだもん。
……うん、盗み聞きするつもりなくてもしちゃうね、これは。
もしかして目を閉じてるから視覚が遮断されて、聴覚が鋭くなってるのかな。
ほらほら、あたしの後ろ斜め右で喋ってる内容が聞こえてきた……。
「スタートシンデレラ見てる?」
この声は、ちょっとアホで面白いこと言う男子だ。
「録画して見てる〜」「見てる」
今の声、春子?
スタート・シンデレラっていうのは、最近話題のドラマみたい。
あたしはテレビをあんまり見ないから知らないけど、シンデレラみたいに綺麗に生まれ変わっていく? シンデレラストーリーらしい。
「子供が見ないように一〇時くらいにやってるけどさ、普通に見れるよね」
「あー、俺も見ようとするとお母さんに追い払われる」
春子の笑う声が隣で聞こえる。
もう一人の男子誰だろう……。う〜ん、う〜ん。
考えているうちに会話が進んでいて、耳に入ったのはこんな言葉だった。
「本当にあんなことしないと子供できないのかなぁ〜」
!?
お、おまいら何ちゅー話をしているの……!? スタート・シンデレラにそういうシーンがあるのかな。
“あんなこと"がどういうことかよくはわからないけど、きっと、多分、破廉恥なことでしょ……。あらいやだ、恥ずかしい。
「そうでしょ〜」
かすかに笑いながら春子が言った。
「えー、だったら俺やだなー」
は、はっ、春子ぉぉぉ!? な、なんと破廉恥な……。
と、いうか、へ……? やなの?
そういう男子もいるんだ……。男子はみんな変態かと思ってた。ごめんね、世界中の男子。
でも、聞こえちゃうからそういう話はやめてね?
結局、あたしは着くまでずっとこの体勢のまま、みんなの話を聞いてしまった。
男子はこういうお年頃……。
こういう話も多いのです(´-ω-`)
でも、1-2の男子は控えめな方にしてあります。
水原琴葉が描写を書きにくいので(笑)
これからもよろしくおねがいします。




