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ファザー牧場に遠足に行く、数日前。
クラス内でのグループが、みんなだいたい固まってきた。
あたしのいるグループの中心は和泉千早。
ほかは、寝屋川紫苑ちゃんと柏原成美ちゃん。
紫苑ちゃんは1人だけ違う小学校。リュックとか文房具、ノートもオシャレ。ここは制服だから、私服はなかなか見れないけどオシャレなんだろうな、って思う。
肩まで伸ばされた黒い髪、顔が小さくて文化部なのに足が速いという羨ましい子。
人見知りなのか、ちはにしか笑わないし喋らない。ちはにはいじってるのに成美ちゃんとあたしにはあんま、って感じで悲しいよぉ……。でも、いじって欲しいってわけじゃあないから!
成美ちゃんは軽くクセのあるミディアムの黒髪。目がきつめだから誤解されることが多いみたい。あたしもそんな話を聞いたことあるし……。
そして紫苑ちゃんと同じく、オシャレ。……ってあたしと比べたら誰だってオシャレだっ!
2人共オシャレで背が高くて細いしすごいなー、って思う。
そんな4人のグループです。
今日は――――――――。
いつも、あたしと紫苑ちゃん、成美ちゃんはちはの席に集まる。この時点で、みんながちはを求めているのは確実。ちはは誰にだって優しくて面白いからね〜。“ちはのための”グループ。
まぁ、そりゃちはが誰かの机に行くときだってあるよ。あたしも、それに必死になって話に入ってく。
今思うと、なにしてんだろって感じ。だけど、あたしにはこうするしか生き残れないんだよ、この世界では。
今日はちはが紫苑ちゃんの席に行って、紫苑ちゃんのよく「すごーい!」と言われるクレヨンみたいなペンをいじっていた。
このペンいいんだよね〜。あたしもついつい、オレンジ色のを買っちゃったよ。裏写りしないし、クレヨンみたいで可愛いし。
でも、たまに変なところに線引いちゃうのが問題点だね……。
ちはは、そんなペンの――――――匂いをかいでいた。
3人がちはを見て「え」と唖然とするなか、
「これいいにおーい!」
いい香りなようで、目を閉じてくんかくんか香りをかぎとっていた。
ちはの怪しい行動に、ちはいがいの3人が爆笑。あたしは軽く笑い上戸だから、しばらくずっと笑ってた。
それに比べ、紫苑ちゃんはあんまり長く笑わない。COOL!
不等号で表すと、『紫苑ちゃん<成美ちゃん<あたし』。
早くに笑いが収まった紫苑ちゃんは、ちはからペンを取って、同じようにかぐ。まぁ、自分のペンでも匂いなんてかがないよね、普通……。
紫苑ちゃんはすぐに顔をしかめた。
「くっさ!」
鼻からペンを即座に離し、ちはに手渡した。
「えぇ〜、なんで? いい匂いじゃん」
「え、ええ……。ちはちゃん、絶対鼻おかしいって」
紫苑ちゃんが笑いながら言った。
目の前で繰り広げられる会話に、あたしは思わず笑いだしてしまった。
だって、だって……面白すぎ……! 臭いのにいい匂いって……。超ウケる……!
まだ笑みが残った顔で、紫苑ちゃんは自分のペンケースから紫色の消しゴムを取り出してちはの鼻に近づけた。
「これは?」
「これは?」ってもうかがせてんじゃん……。
すると今度はちはが顔をしかめ、遠ざけた。
「くさいよ﹏﹏」
紫苑ちゃんはニヤリと笑った。返された消しゴムを手に持って、またちはの鼻に近づけようとする。
やーだーと言いながら教室を逃げ惑うちは。笑いながら紫の消しゴムを持ってちはを追いかける紫苑ちゃん。
「紫苑ちゃんのドSー!」
「待て〜♪」
紫苑ちゃんのドS発覚! 超笑顔で怖いんですけどー!
あたしはまたツボにはまってしまって、しばらく笑っていた。
一見仲が良さそうに見えると思うけど、あたしと成美ちゃんは閲覧者。
しかもその後、どんなのか気になったから「あたしもそれ貸してー」って、ペンと消しゴムを貸してもらおうとしたら無言でうなずかれた……。
あたしのことが嫌いなのかもしれない……。仲良くなるためにはたくさん喋りかけるしかないのかな?
いや、でも嫌いなのにいっぱい喋りかけられたらうざいよね!?
うー、でも、グループ内がいつまでもあんなんだったら困る。居づらいし。面白いけど、閲覧者は嫌だ。あたしも入りたいの。
取りあえず、紫苑ちゃんと仲良くなりたい。その後はちはと紫苑ちゃんと成美ちゃんとあたしで、仲良くできたらいいな……。
この様子、想像できたら面白い、のかな……?
でも、私の頭の中では面白いコメディとして動いてます。
感想待ってます!




