第一話〜転校〜
友というのは大きな存在だった。
楽しかった。
だけど。
明日この街を出て行く。
自分が決めたことじゃない。
そんなこと絶対いやだ。
すべて大人が決めたこと。
12歳の自分は何もできない。
抵抗したって無駄。
泣き叫んでも無駄だった。
修学旅行が終わってたったの七日後。
クラスの子はびっくりしていた。
それが苦しい。
このクラスに馴染めなかったからみんなに嫌われてるんだと、思った。
だけど色紙見たときそれは勘違いなんだと痛感した。
うちの近くの友達は本当の友達。
小1から中1くらいまでたくさんいた。
いつも誰かが遊びにきて楽しい。
なのに。
今となっては楽しかったせいでよけい苦しい。
言い出せなかった。
どんな顔するだろう。
泣くかもしれない。
告げた時はよく覚えている。
友達1人にダンボールを見せた。
みんな驚いた。
苦しかったけど、それしかなかった。
サヨナラ。みんな。
ついに車が出発。
雨だ。
悲しみの雨。
「えー。転校生を紹介します」背の低い男教師が児童みんなに言う。
「荻野晴さんです」
晴は礼をして「よろしくおねがいします」と、小さい声で言った。
学級委員らしい女子があいさつをしたがそれっきり話しかけてはこなかった。
丸野美歩という子と仲良くすることができたのは、あれから3日たってからのことだった。
「あたしもね。転校してきたんだ」美歩は言う。
「ホント?」晴は嬉しかった、同じ悲しみをした人と仲良くできて。
「転校ってそう珍しいことじゃないでしょ」
「そうかなぁ……」
好きな男の子が遠くに行っちゃたり、いろいろあったなぁ。
「転校生のくせに生意気」ふざけ半分で言われた。
宮部奈菜。学級委員のあの子。
晴の顔は笑ってたけど悲しかった。
くせに。
転校生のくせに。
転校生のくせに生意気。
いつまで転校生なんだろう。いつもお世話好きがやってきて、みんなにチヤホヤされて・・・・・・・
早く。早く普通の人になりたい。
何話まで続く分かりませんが宜しくお願いします。
名前は違いますが、少しノンフィクションです。
「転校生のくせに生意気」も言われました。