ハロウィーン 伽羅 編
ミラと雨衣が正式に付き合いだしてから数ヶ月経った。
それなのに、まだ最後までいってないらしい。
今時なんて珍しい!!
今まで自分の恋愛にだけ集中してきたのでまさか他人の恋愛にイライラするとは思わなかった。
伽羅・パーカーはタバコを派手なクラッチバックから取り出そうとしたが、他人の車の中だと気づいて
代わりに携帯を出した。
今は伽羅は雨衣の車で移動中だった。
前の席には雨衣とミラ、後ろは幸子と自分だった。
麻凛は泊りがけのパーティーを旦那に反対されて欠席、
(まあ、美しき若妻が心配なのはわかるけど)
比べて弟の鞠男は「意地でも行きたいわ!」とはりきってる。
彼(彼女?)は一人運転してホテルで合流する予定だ。
(ほんとは鞠男の素晴らしいスポーツカーか恋人の助手席に乗りたかった)
こんな平凡な車に乗りたくは無かったが、今の恋人の一人がハロウィーンパーティーの主催者なので
準備の為に湯河原のホテルに先に行ってしまったのでしょうがない。
今は伽羅には自分の車が無い。
そもそも車が無くても色んな所に連れてってくれる友人(ミラや鞠男)や
「彼」達が要る。
もちろん、他の「彼」達には今日の事はあえて詳しく言うつもりは無い。
それにもし他にデートしている男が複数居ると他の男たちにバレても構わない。
「私は一人に縛られるのは嫌だ」とは普段彼らには言っているし。
それでも、中には納得しない男もいるだろうが、だったらさよならするしかない。
伽羅は運転席の雨衣を見た。
ミラと初めてのお泊りが嬉しいのか顔が輝いて見える。
雨衣はかなりいい男だと思うが伽羅は日本人、アジア人の男には興味が無かった。
それでも雨衣は黙ってても女が寄ってくるタイプだと伽羅も感じた。
実際、雨衣を見る周りの女達の視線をよく感じる。
雨衣が幸子よりかなり年下なら幸子も彼の美貌に感激してたかもしれない。
だが、幸子は自分よりかなり若い男しか興味が無いのだ。
幸か不幸か、雨衣は幸子と同い年。
(幸子曰く「すっごくかっこいい!あと5歳以上私より年下だったら良かったのに」)
しかし雨衣はその美貌故?今まで女に不自由したことが無いぶん、恋愛の押しが弱そうな男であった。
(元々の性格が器用でも無く自分の美貌を利用してジゴロになれる程「悪」でも無さそうだ。
上品な家庭に育ったお坊ちゃんとみた)
きっとミラに対してもすごく頑張ってるつもりなんだろうが、
遊びなれた欧米男達と恋愛してきた伽羅からしてみれば物足りないイライラさせる男だ。
逆に鞠男の姉の麻凛は雨衣の美貌にうっとりしていた。
短大を卒業してすぐに医師と結婚した麻凛もある意味
雨衣と同じ部類の人間かもしれない。
お上品な家庭に育ち、生まれもっての異性を惹きつける美貌を持ち
隙の無い洗練さを持つが受身。
麻凛は人の顔色を伺うような人間なので伽羅はたまにイラッとさせられる。
まだ彼女とは二人きりで遊んだことはない。
ちなみに今日の雨衣とミラの服装はリゾートに相応しい爽やかで品のある格好だ。
ミラは普段は目立たないようにと庶民的な格好を心がけているらしく
、仕事に行く時は地味で似合わない安物の服を着ている。
伽羅がそれを度々注意するようになってからは、伽羅のお古の服を着崩して着ていくようになった。
ちなみに伽羅はシーズン毎に服を総とっかえするので、季節の終わりにミラと幸子(たまに鞠男も)
に要らなくなった服や靴をあげている。
ふくよかな幸子は主に靴や鞄を貰い。(伽羅と幸子の身長差は大きいが靴のサイズは一緒だった)
スリムなミラは主に服を貰っている。
ただ伽羅の服はいつもセクシー過ぎるのでミラはトップにストールやジャケットなどを羽織ったり
ミニ丈のボトムの下にはレギンスやタイツなどを履いて露出を抑えている。
ミラの足は伽羅のより細くミニが十分映えるのだが。
ただ今日のミラの格好は伽羅のお下がりでは無く、お気に入りのブランドのものらしい。
ドレープのついた中袖の白っぽい丈の長いトップスに腰の下の方で茶色いベルトを付けている。
下は膝までの薄い茶色のパンツだ。
雨衣もリゾートを意識したのか足首が見える丈のパンツを履いている。
二人の今日の服装は調和していた。
まるで新婚みたいだ。
ちなみに幸子の服装は赤い体のラインがわかる膝までのドレスだ。
有名ブランドでは無いと思う。
彼女の私服はいつも品の無い派手さがある。
男をモノにしたくて必死な感じが見てて痛い。
そうこうするうちに湯河原のホテルに着いた。
貸切でホテルのプールサイドでパーティーだ。
車を預けてエントランスに入ると恋人の一人エリックが出迎えてくれた。
「伽羅! 今日も綺麗だね! ミラも久しぶり!」
エリックは伽羅にキスをするとミラに握手をした。
エリックは今の伽羅の恋人達の中で一番はぶりのいい男だ。
ネット関連の仕事をしていて現在日本で仕事をしてる事が多い。
今回の伽羅達のホテルの滞在費用は全て彼が出してくれた。
伽羅はエリックの腕に飛び込むと、ミラと雨衣の事はちょっとどうでも
良くなって来た。
それよりも伽羅はエリックが最近やとった秘書の視線が気になった。
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